弁護士になるためには司法試験に合格する必要がありますが、そもそも司法試験を受けるには受験資格の条件を満たしていなければなりません。
では、司法試験を受験するにはどんな条件が必要なのでしょうか。また、必須の資格や学歴などは必要になるのでしょうか。
今回は、弁護士を目指して司法試験を受験する際の受験資格や、司法試験を受験できるようになるルートについて詳しく解説します。
また、弁護士になるための司法試験合格後の流れや、実務経験の必要性についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
- この記事でわかること
- 弁護士になるために受験する司法試験の概要
- 司法試験を受験することができる条件とルート
- 各ルートごとの司法試験受験対策と勉強法
- 司法試験合格後に弁護士になるまでの流れ
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弁護士になるための司法試験とは?
弁護士になるために突破しなければならない「司法試験」とは、法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)になるための知識や見識、応用力を見極めるために実施される国家試験です。
弁護士を含む法曹を目指すにあたって、司法試験を突破することは絶対条件ですが、国家資格の中でも司法試験は文系最難関とも称されるほど難易度が高い特徴があります。
司法試験では、弁護士や裁判官、検察官になるために必要な学識や応用能力を身に着けているかを正確に評価するため、知識だけでなく法律に関する倫理的で実践的な理解力・判断力・思考力を判断されるのも特徴です。
また、司法試験の受験資格を取得すること自体も、非常に難易度が高いといわれています。
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弁護士になるための司法試験の受験資格は2パターン
司法試験の受験資格は、以下の2パターンのうちのいずれかが必須です。
- 法科大学院ルート
- 予備試験ルート
具体的にどのような流れで司法試験の受験資格を得ることができるのか、それぞれ解説します。
法科大学院ルート
司法試験の受験資格を得るには「法科大学院(ロースクール)を修了する」というルートがあります。ただし、このルートで司法試験の受験資格を得るには、まず法科大学院に進学するための受験資格を満たさなければなりません。
法科大学院の受験資格を得るには、原則として4年制大学を卒業している必要があります。しかし、出身大学までは問われないため、国公立・私立問わず4年生大学を卒業していれば受験可能です。
法科大学院ルートで司法試験を受験する場合は、法科大学院への受験を突破し、かつ必要課程を修了した場合にのみ、司法試験の受験資格を得ることができます。
予備試験ルート
司法試験の受験資格を得るもう1つの方法は「司法試験の予備試験に合格する」というルートです。
予備試験ルートにはとくに受験資格が設けられておらず、年齢や学歴に関係なくどなたでも受験することができます。司法試験予備試験に合格すれば、法科大学院に進学しなくとも司法試験の受験資格が取得可能です。
予備試験ルートを辿れば法科大学院を経ずに弁護士になれるため、4年生大学を卒業していない16歳での最年少合格者も出ています。
間口が広く、年齢・学歴問わず誰にでも受験資格が得られる選択肢として、注目されている司法試験の受験方法です。
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弁護士になるための司法試験の受験資格の回数制限は?
司法試験の受験資格には、5年間で5回までという回数制限が設けられています。
そのため、5回不合格になって受験資格が失効した場合、法科大学院ルートもしくは予備試験ルートから、再度本試験の受験資格を取得しなければなりません。
これは、平成26年10月1日より施行された、司法試験法の改正によるものです。
(2) 司法試験の受験回数制限の緩和
ア 司法試験の受験できる回数の制限を廃止する。
法科大学院課程の修了の日又は司法試験予備試験の合格発表の日後の最初の4月1日から5年の期間内は毎回受験することができる。
イ 特定の受験資格に基づく最後の受験をした日後の最初の4月1日から2年を経過するまでの期間は,他の受験資格に基づいて司法試験を受けることができない旨の規定を廃止する。
※ 改正法施行日前に司法試験の受験資格を得た方について,既に3回司法試験を受験している場合も,同資格を得た最初の4月1日から5年の期間内であれば平成27年以降の司法試験の受験が可能となります。
平成26年に実施された司法試験法の改正によって受験回数の制限が緩和されるまでは、5年間に3回までの制限が設けられていました。
やや緩和したものの、受験資格の再取得は負担が大きいため、司法試験受験の回数制限内に合格できるように、試験対策を入念に行う必要があります。
【最新版】司法試験の受験回数制限はなぜある?5回落ちたら受験資格喪失?
予備試験ルートから司法試験受験資格を得るときの勉強法
予備試験ルートから司法試験の受験資格を得るためには、スケジュール管理が欠かせません。
何年後の合格を目指して取り組むのか、自分の知識量や学習スピードに応じて対策を講じなければならないためです。
ここからは、予備試験ルートから司法試験の受験資格を得るために意識しておきたい、勉強のポイントについて解説します。
予備試験受験までの学習計画を立てる
予備試験ルートから司法試験の受験資格を得る場合、予備試験受験までの学習計画を立てることが重要なポイントになります。
法科大学院を経ずに受験資格を得ることはできますが、予備試験自体が司法試験の本試験と同等レベルの知識や応用力が問われる試験です。
そのため、受験資格を得るための段階で、本試験に合格できるレベルの学習習熟度に到達している必要があります。
現状の知識量や学習スピードに合わせて計画的に勉強を進めなければ、予備試験までに試験対策が間に合わない事態を招きかねません。
予備試験本番までの日数から逆算し、計画を調整しながら学習に取り組みましょう。
インプットとアウトプットをバランス良く行う
司法試験の予備試験に備えるには、インプットとアウトプットをバランス良く行うことが大切です。
インプットは、基礎知識を身につける段階ですが、インプットだけに終始していると問題を解く習慣が身につきません。
予備試験本番では、出題意図をスムーズに理解してスピーディーに解答する必要があるため、アウトプットに慣れておく必要があります。
一方で、過去問を解いたり模擬試験を受けたりするようなアウトプットは、基礎知識が身についていなければできない学習方法です。
そのため、インプットとアウトプットのバランスを見極めながら、徐々に試験本番を意識した学習(試験同様の時間制限で過去問を解くなど)に切り替えていくと良いでしょう。
スクールや通信講座を活用するのもおすすめ
司法試験の受験資格を得るためとは言え、予備試験の難易度も最難関クラスです。
独学で合格することは難しく、司法試験予備試験の膨大な試験範囲を効率良く学習するのであれば、スクールや通信講座を活用すると良いでしょう。
スクールや通信講座には、司法試験予備試験の合格者を多数指導してきた講師による、講義や指導が受けられるメリットがあります。
要点を押さえた学習ができるほか、独学では難しい論文式試験対策の指導や添削も受けられるため、予備試験合格に向けて最短で学習することが可能です。
個人で学習するのはモチベーションが続かないという場合や、最短期間での予備試験合格を目指したいという方は、スクールや通信講座の活用を検討してみると良いでしょう。
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法科大学院ルートから司法試験受験資格を得るときの勉強法
法科大学院ルートから司法試験の受験資格を得る場合、予備試験対策とは異なる勉強が必要になります。
ただし、令和5年より、法科大学院入学後に所定の過程を修めて在学している大学院の学長が認定を出した場合、在学中でも司法試験の受験資格が得られるようになりました。
在学中受験資格を得るには、司法試験が行われる日の属する年の3月31日までに、以下の区分に応じ、それぞれ以下に定める単位を修得していることが必要です。
○ 法律基本科目(憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目)の基礎科目 30単位以上
○ 法律基本科目の応用科目 18単位以上
○ 選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)又は国際関係法(私法系)) 4単位以上
※ なお、各法科大学院における開講科目と上記法律基本科目の基礎科目及び応用科目並びに選択科目との対応関係については、各法科大学院にお問い合わせください。
卒業を待たずして司法試験を受験することが可能になりましたが、司法試験が行われる日の属する年の4月1日から1年以内に法科大学院を修了できる見込みがあることが条件です。
そのため、既習では最短で入学から2年、未修者は最短3年かかることを理解しておきましょう。
ここからは、法科大学院を経て司法試験を受験する場合の勉強法や、押さえておくべき学習のポイントについて解説します。
既習・未修それぞれに合う入試対策をする
法科大学院ルートで司法試験を受験する場合、既習・未修それぞれに合う入試対策をする必要があります。
- 既習:法律の学習をすでに行った経験がある人。法学部出身者などが対象。
- 未修:法律系以外の学部出身の4年制大学卒業者が対象。
法学部出身などの既習者の場合、法学部卒業レベルのみならず、さらに高い水準の知識が試験で問われます。
一方で、未修者の場合は入学試験で法律科目が出題されることはありません。小論文や面接などを通じて、論理的思考能力が備わっているかが問われます。
既習コースの合格率は約30~40%程度ある反面、未修コースの合格率は約10~20%程度です。
どちらも狭き門であることは変わらないため、試験対策は入念に行いましょう。
論文の書き方を身につけておく
法科大学院を受験する際は、論文の書き方を身につけておくことが大切です。
既習コース、未修コースともに、法科大学院の試験では論文が出題されます。論文は、出題に対して的確に論述する必要があり、独学では試験対策が難しいのも特徴です。
とくに未修コースの場合、法律知識が問われない分、論文で能力を証明する必要があります。
どのような思考で論じれば良いのか、文章の構成をどうすれば良いかなど、論文の書き方や構成力を身につけるための対策が重要です。
法科大学院対策のスクールや通信講座もおすすめ
スクールや通信講座は、予備試験や司法試験対策だけでなく法科大学院の受験対策講座も開講されています。
法科大学院ルートで司法試験を目指すのであれば、法科大学院対策のスクールや通信講座を活用するのも効率良く学習できる手段です。
スクールや通信講座によっては、各法科大学院それぞれの試験傾向に合わせた受験対策講座を提供しているところもあります。
また、論文試験対策のみを受講することも可能なため、学習状況に合わせて活用してみると良いでしょう。
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司法試験合格後弁護士になる流れ
司法試験に合格したあとは、予備試験ルート・法科大学院ルートともに、司法修習生として1年間の実務者研修が行われます。
司法修習生は、導入修習(約1か月)、分野別実務修習(約7か月)、選択型実務修習・集合修習(約3か月)を受けたのち、考試受験(2回)を経て法曹になる流れです。
考試合格後は、弁護士バッジが授与され、就職先がある地域の弁護士会に登録してようやく弁護士として働くことができます。
司法修習考試(二回試験)は不合格が当たり前?試験の詳細や日程は?
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弁護士になるための司法試験は受験資格が必要!
弁護士になるためには司法試験を受験しなければならず、さらに司法試験を受験するための受験資格の条件を満たす必要があります。
司法試験の受験資格を得る方法は、法科大学院を修了するか予備試験に合格する方法の2種類です。
予備試験は受験資格が必要ないため、学歴や年齢なく試験を受けることが可能ということから弁護士や法曹を目指している方から注目を集めている試験でもあります。
予備試験ルート・法科大学院ルートそれぞれから司法試験合格を目指すのであれば、サポートが充実しているスクールや通信講座の受講もおすすめです。
司法試験合格後は、司法修習生として約1年間実務経験を積まなければなりません。弁護士になるまでの道は険しいですが、それだけ魅力的な職業であることは間違いないでしょう。