公務員といえば、安定した働き方が可能な仕事というイメージがありますよね。
しかし、世間は早期退職を求められたり年金の削減など不安定な状況となりつつあり、公務員もこれまでとは違う働き方が求められるようになりました。
現在、公務員の定年は60歳ですが、今後徐々に定年延長がされることが決定されました。
この記事では公務員の定年について、定年延長の他に自己都合による早期退職の場合の退職金や年金など、定年にまつわるアレコレを徹底的に解説します。
●役職定年制により管理監督職から降任
●給与は7割に減少
●退職金は保証
●再任用で短時間での勤務が可能
目次
公務員の定年はいつ?定年延長って本当?

公務員の定年は、医師や在外公館に勤務する職員など例外を除き、これまでは60歳まででした。
60歳で定年退職したら退職金や年金で余生を暮らすというのが、これまでの人生設計の代表例と言えたでしょう。
しかし、令和5年4月1日より、公務員は定年延長されることが決定されました。
まずは定年延長について詳しく見ていきましょう。
以下参考:人事院給与局 内閣肝臓内閣人事局 国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)
公務員の定年は最大で65歳になる
公務員の定年は令和5年から2年に1歳ずつ引き上げられ、最終的には65歳が定年となります。
年度 | 定年の年齢 |
---|---|
現行 | 60歳 |
令和5年度〜6年度 | 61歳 |
令和7年度〜8年度 | 62歳 |
令和9年度〜10年度 | 63歳 |
令和11年度〜12年度 | 64歳 |
令和13年度〜 | 65歳 |
このように、1年ずつ定年延長がなされ、令和13年度からは65歳が定年となります。
もう少しわかりやすく、生年月日ごとの定年の年齢を見てみると、次のようになります。
生年月日 | 定年の年齢 |
---|---|
昭和37年4月2日〜 昭和38年4月1日 |
60歳 |
昭和38年4月2日〜 昭和39年4月1日 |
61歳 |
昭和39年4月2日〜 昭和40年4月1日 |
62歳 |
昭和40年4月2日〜 昭和41年4月1日 |
63歳 |
昭和41年4月2日〜 昭和42年4月1日 |
64歳 |
昭和42年4月2日〜 昭和43年4月1日 |
65歳 |
昭和38年〜43年生まれの方はこれまで想定していた定年から延長されるため、ライフプランの見直しなどが必要となってくるでしょう。
また、矯正施設などで仕事をする医師・歯科医師や検察官・防衛省の事務官なども同様に定年延長がされ、最大70歳までとなります。
定年延長で役職は変化する?
公務員として60歳まで勤めていた場合、役職はそれなりのものとなっていることでしょう。
定年延長された60歳以後の公務員は、必ずしも同じ役職に就けるとは限りません。
管理監督職に就いていた公務員は、60歳以後非管理監督職に降任することになります。
これが役職定年制であり、例えば事務次官や局長、部長などに就いていた方は課長補佐級以下に降任します。
これは組織の活性力を維持させるための措置であるため、仕方のないことと言えるでしょう。
定年延長で給料は変化する?
役職が変わる他に、定年延長後の60歳以上の公務員は給料も変化します。
給料はそれまでの7割となり、役職が降任した場合は降任前の給料の7割となります。
例えば行政職(一)6級85号に就いていた場合の月給は410,200円ですが、61歳以後は287,100円となります。
定年延長で働く年数は増えますが、給料はそれまでより減る点には注意が必要です。
定年延長で退職金はどうなる?
65歳まで働かず、60歳で退職したいと思った時の退職金がどういう扱いになるのかは気になるところですよね。
退職金については、60歳以降、定年前に退職したとしても退職自由は「定年退職」として扱われ、定年による退職金と同じ退職金がもらえます。
また、60歳までに算定される退職金と61歳以降に算定される退職金は別に計算されるため、給料が減ることによる退職金の減少もありません。
しかし、退職金をもらえるのは定年退職のタイミングとなるため、定年延長によりもらえる時期が遅くなる点は注意が必要です。
定年延長ではなく、短時間勤務職員としての再任用も可能
また、定年後にそのまま働き続ける他に、「定年前再任用」を利用することも可能です。
これは60歳以降に一度退職し、再任用により新たなポストに就くことができる制度です。
令和5年からは短時間勤務として、週に2日(15.5時間)〜5日(31時間)働くことが可能です。
これまでのようにフルタイムで働く選択肢もありますが、どちらにしても一度退職するため、役職はそれまでより下がってしまうことでしょう。
公務員の退職金は?早期退職や自己都合の場合はどうなる?

公務員の定年延長により変化するさまざまなことについて、詳しく解説しました。
続いては、定年延長に限らず、退職金について、いくらもらえるのか、自己都合による早期退職の場合はいくらになるのかを見ていきましょう。
公務員の退職金はいくらもらえる?
公務員の退職金は基本給と調整額を足した金額となっています。
このうち基本給は「俸給月額」と「退職事由別・勤務時間別支給割合」を掛けた額になります。
例えば月給が410,200円である行政職(一)6級85号の、38年間勤務し定年退職を迎える場合の退職金を見ていきましょう。
この場合俸給月額410,200円×退職事由額47.709+調整額43,350円で19,614,000円が退職金となります。
退職金についての詳細は内閣官房 HP「国家公務員の退職手当制度の概要」 をご覧ください。
公務員の平均退職金
公務員の退職金は法律により定められており、国家公務員と地方公務員の場合や、地方公務員は自治体ごとにも退職金の額は異なります。
政府統計の総合窓口 e-Statの国家公務員退職手当実態調査によると、令和3年の国家公務員の退職金は平均で10,607,000円となっています。
地方公務員の場合は総務省の総務省|給与・定員等の状況|給与・定員等の調査結果等によると退職金の平均額は13,745,000円です。
定年のみでみると国家公務員は21,064,000円、地方公務員は22,095,000円となっており、定年まで勤めればどちらも2,000万円以上をもらえます。
自己都合による早期退職の場合は退職金はいくら?
自己都合による早期退職の場合、定年退職に比べて退職金は減ってしまいます。
しかし公務員の場合は勤続1年目からでも退職金をもらうことができ、1年目なら「俸給月額×0.5022」の退職金がもらえます。
そのほか35年以上勤務して定年退職する場合は退職事由による割合が47.709ですが、自己都合による早期退職でも43年以上勤務している場合は同じ割合で退職金をもらえます。
また、既に述べたように定年延長により60歳以上が定年となった場合に60歳で退職しても、退職自由は当分の間「定年」となるためご安心ください。
勤続年数 | 自己都合 | 定年・勧奨 |
---|---|---|
5年 | 0.5022 | 0.837 |
3年 | 1.5066 | 2.511 |
5年 | 2.511 | 4.185 |
10年 | 5.022 | 8,37 |
15年 | 10.3788 | 16.216875 |
20年 | 19.6695 | 24.586875 |
25年 | 28.0395 | 33.27075 |
30年 | 34.7355 | 40.80375 |
35年 | 39.7575 | 47.709 |
40年 | 44.7795 | 47.709 |
(上記割合を俸給月額に掛け、調整額を足した金額が退職金となります。)
公務員として働いた場合の年金はいくらもらえる?

お金に関することで、定年延長とも大きく関わるのが年金です。
公務員の定年延長により年金の受給額や開始時期は変わるのでしょうか?
基本的な年金の情報から、定年延長に関する年金を見ていきましょう。
公務員として働いた場合の年金受給額
公務員の年金は、2015年以降厚生年金となり、一般的な会社員と同じ仕組みの積み立てとなりました。
厚生労働省の令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、令和2年度の年金受給額は以下のようになっています。
性別 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 | 65歳以上 |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 92,271円 | 104,007円 | 113,300円 | 90,544円 | 91,322円 | 170,391円 |
女性 | 82,547円 | 54,791円 | 54,887円 | 50,889円 | 49,926円 | 109,205円 |
上記金額は老齢厚生年金と呼ばれるもので、日本に住む20歳〜60歳の全員が加入する年金です。
これだけみると額が少ないように思えますが、公務員の場合はこれに加えて「年金払い退職給付」という年金を受け取れます。
年金払い退職給付とは
年金払い退職給付とは会社員でいう企業年金にあたります。
有期年金と無期年金の2種類から選択でき、有期年金なら10年か20年、年金の受給期間を選べ、死亡した場合残りの期間分を遺族が受け取れます。
無期年金は亡くなるまで年金を受給できますが、亡くなった時点で終了となります。
これら厚生年金と年金払い退職給付を合わせて、公務員の年金受給額はおよそ18万〜19万円ほどとなります。
定年後に増えるもの・なくなるもの

公務員は定年退職の場合2,000万円ほどの退職金がもらえ、その後18万円〜19万円の年金がもらえます。
また、定年延長により65歳まで働くこともできるようになり、これまでとは環境が変わりつつあることがわかりました。
最後に、公務員が定年退職することによって増えるものやなくなるものについてみていきましょう。
人生100年時代、定年後もまだまだできることがたくさんあります!
公務員の定年退職後に増えるもの
それではまずは、公務員の定年退職後に増えるものを見ていきましょう。
増えるものとして大きなものは、やはり「時間」です。
増えるもの:自由な時間
まず第一に、自分が自由に使える時間が圧倒的に増えます。
通勤に往復1時間かけ、8時間の勤務、出勤のための準備や帰宅後の資料整理などで1時間要していた場合、1日に10時間ほどの時間が生まれます。
この10時間は趣味にあててもいいですし、新たな仕事に使ってもいいでしょう。
定年延長による短時間勤務を選択した場合も、これまでよりかなりの時間を使うことができるようになります。
増えるもの:家族や友人と過ごす時間
公務員として働いている時は職場の人と共にいることが多かったでしょうが、定年後は家族や友人と過ごす時間が多くなります。
それまでずっと家庭を支えてきた家族と共に家事をおこなったり、共に定年退職した友人と遊びに行くことも大切な時間の使い方です。
仕事をする必要がなくなったら、人との関わりが大事な生活の支えとなります。
これまでに培った交友関係を大切にしつつ、新たな関係を築いてもいいかもしれませんね。
増えるもの:地域との関わり
また、主な環境が職場ではなくなるため、地域との関わりが増えることでしょう。
職場が自宅から離れていたなら、なおさらこれまでとは全く違う関わりをすることになります。
また、これまで地元の公務員として働いていたなら、今度は自分がその恩恵を受ける番です。
地域に住民としての居場所を新たに見つけることで、日々の生活が楽しくなることでしょう。
公務員の定年退職後になくなるもの
続いて、公務員の定年退職後になくなるものを見ていきましょう。
なくなることが必ずしもよくないことではありません。
大切なのは環境の変化に対応し、セカンドライフをどう生きていくかしっかり組み立てていくことです。
なくなるもの:収入
当然ですが、退職後は収入がなくなります。
定年延長により少し長く働くことはできますが、いずれ誰しも収入は無くなることでしょう。
もちろん年金は受け取れるほか、自らお店を立ち上げることもできます。
それまでの経験を活かしてもいいし、全く違った挑戦をしてみてもいいでしょう。
なくなるもの:公務員としての肩書きや価値観
公務員は社会的信頼のある仕事で、ローンを組みやすいなどのメリットがあります。
公務員の肩書きがなくなることは生活に影響を与える可能性もあるため、公務員の方が都合がいいこととは退職前に済ませましょう。
また、公務員として働いているときに培った価値観は、退職後は通用しないこともあります。
郷に入っては郷に従えと言いますから、退職後は新たな環境に馴染めるように頑張っていきましょう。
なくなるもの:職場という環境
職場という環境がなくなることは、人によって良くも悪くもあるでしょう。
家庭や住んでいる場所が過ごしやすい場所でなかった場合、職場がなくなることでストレスが増えてしまう可能性もあります。
逆に、職場がなくなることで解放感に満たされる場合もあるでしょう。
どちらにせよ、職場がなくなることで自分はどうなってしまうか、少し考えておくといいかもしれません。
公務員の定年はいつ?定年延長や退職金・年金について|まとめ
●定年の場合の退職金は約2,000万円
●自己都合による早期退職の退職金は勤続年数や役職で異なる
●定年後にもらえる年金は約18万〜19万円
●定年退職後は時間が増え収入がなくなる
公務員の定年は令和5年から段階的に引き上げられ、令和13年度からは65歳まで定年延長されます。
それに伴い退職金の額や受給時期も変わるため、あらかじめ計画を立てておくことが大切でしょう。
また、退職金は定年と自己都合による早期退職の場合では受給額も変わってきます。
安定感があるイメージの強い公務員ですが、ライフプランはしっかりと組み立てた上で働いていくことが大切になってくるでしょう。
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