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海上保安官になるには?採用試験の難易度・仕事内容・平均年収を解説

更新日:2024-04-13

海上保安官になるには?採用試験の難易度・仕事内容・平均年収を解説

海上保安官は、海上の治安や環境保全を維持するために活躍する国家公務員です。

具体的には、巡視船や航空機から海上の監視をしたり、補給業務や情報伝達、総務など業務内容は多岐にわたります。

海上保安官になるには、海上保安大学校もしくは海上保安学校を卒業する必要があります。

しかし、海上保安官になるには厳しい試験をパスする必要があり、入念な試験対策や体力づくりのためのトレーニングが必要です。

本記事では、海上保安官を目指すための流れや試験難易度、試験をパスするためのコツなどもご紹介しています。

海上保安官を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • 海上保安官の仕事内容
  • 海上保安官になるにはどうすればよいか
  • 海上保安官の試験難易度
  • 海上保安官の試験対策方法

海上保安官とは

海上保安官とは、海上の警察や消防などさまざまな役割を担っている人のことです。

「領海警備」「海難救助」「環境保全」「災害対応」「海洋調査」「船舶の渡航安全」なども海上保安官が行っています。

海上保安官は、24時間365日昼夜問わず、海上の安全および治安の確保のため日々任務に取り組んでいます。

海上保安官の仕事内容

海上保安官には様々な分野があり、「海」「空」「陸」で仕事内容が異なります。

海上保安官の仕事は、海上勤務だけではありません。東京の本庁や管区本部等の陸上での勤務や海外での勤務など、活躍の場は多岐に渡ります。

それぞれの仕事内容について、詳しく見てみましょう。

海(船舶)

職員 職種 仕事内容
航海科職員 航海長
首席航海士
主任航海士
航海士
航海士補
船舶や見張り、航海計画の立案や船体の手入れ等が主な業務
機関科職員 機関長
首席機関士
主任機関士
機関士
機関士補
エンジンの運転や整備、燃料油の管理等が主な業務
通信科職員 通信長
首席通信士
主任通信士
通信士
通信士補
一般船舶や他の巡視船舶の通信、通信機器の整備等が主な業務
主計科職員 主計長
首席主計士
主計士
主計士補
庶務や経理、物品等の管理、調理、看護等が主な業務
航空科職員 航空長
首席飛行士
主任飛行士
飛行士
飛行士補
首席整備士
主任整備士
整備士
整備士補
首席航空通信士
主任航空通信士
航空通信士
航空通信士補
パイロットや航空機の整備や管理を行うのが主な業務
運用司令科職員 運用司令長
首席運用司令士
主任運用司令士
運用司令士
運用司令補
情報の収集や分析、対処方針の立案や調整が主な業務

陸(デスクワーク)

職員 仕事内容
総務業務 政策の企画・立案・広報・職員の人事及び福利厚生等を行う
経理補給業務 予算の執行や施設の物品等の管理を行う
装備技術業務 船舶・航空機の建造・修理等に関する業務や各種装備に関する技術の検討等を行う
情報通信業務 情報通信システムの整備や管理に関する業務を行う
警備救難業務 海上犯罪の調査、海上救助及び領海警備等に関する業務や巡視船艇・航空機の運用調整を行う
海洋情報業務 海洋調査による海洋情報の収集や提供、海図の作製等を行う
海上交通業務 海上交通ルールの設定や航路標識の管理、海難の調査や海上交通の安全に関する業務を行う

空(航空機)

職員 業種 仕事内容
飛行科職員 飛行長
上席飛行士
主任飛行士
飛行士
飛行員
パイロットとして運行を担当
また、機長として機体の運行業務を統括する
整備科職員 整備長
上席整備士
主任整備士
整備士
整備員
航空機も機体整備や燃料油等を管理
フライトの際は航空機に搭乗し、機体の管理を行う
通信科職員 通信長
上席通信士
主任通信士
通信士
通信員
主任探索レーダー士
探索レーダー士
探索レーダー員
通信機器の操作や整備等を担当
航空機や航空基地との相互通信も行う

また、プロフェッショナルになるための潜水研修や語学研修も行っています。

海上保安官の年収

海上保安官の年収は、他の国家公務員と同様に定められています。

大半の海上保安官は、公安職と俸給表の適用を受けているため一般の公務員と比較すると高めです。

月収例として、保安学校卒の25歳で月収26万円、年収は300万円程度となります。

また、保安大学校卒で40歳に課長に昇格した場合、月収は46万円となり、年収は550万円程度です。

加えてボーナスや特殊勤務手当が支給されるため、手取り額は増えるでしょう。

海上保安官になるまでの流れ

海上保安官になるためには、海上保安大学校もしくは海上保安学校を卒業しなければなりません。

海上保安官になるまでの流れを、それぞれ見ていきましょう。

海上保安大学校(本科)の場合

海上保安大学校の場合、本科4年、専攻科6ヶ月、研修科3ヶ月間の計4年9ヶ月間の教育を受けます。

カリキュラムは学校教育法に基づいて作成されており、卒業時に「学士(海上保安)」の学位が授与されます。

海上保安大学校(初任科)の場合

海上保安大学校は、海上保安庁の幹部となる職員を養成するために令和2年に新設されました。

初任科で1年間の教育を受けたのち、特修化でさらに1年間の教育を受けます。

その後は、本科と同じ専攻科6ヶ月、研修科3ヶ月の計2年9ヶ月間で専門的な知識を習得します。

海上保安学校の場合

海上保安学校の場合、4つの課程のうち1つを選択し海上保安官として必要な知識を身につけます。

一般課程と航空課程及び海洋科学課程は1年間、管制課程は2年間です。

卒業後は、巡視船舶の乗組員として、全国に配属されます。

海上保安官の試験難易度・倍率は?

海上保安官の難易度・倍率は、以下の通りです。

試験区分 受験者数 1次試験合格者数 2次試験合格者数 倍率
船舶運航システム課程 1,821人(女性265人) 900人(女性121人) 519人(女性76人) 3.5倍
船舶課程 164人(女性8人) 93人(女性4人) 34人(女性1人)※3次試験まであり 4.8倍
情報システム課程 94人(女性24人) 66人(女性17人) 50人(女性13人) 1.9倍
管制課程 48人(女性20人) 33人(女性13人) 24人(女性7人) 2倍
海洋科学課程 48人(女性9人) 31人(女性7人) 20人(女性4人) 2.4倍
2,175人(女性326人) 1,123人(女性162人) 647人(女性101人) 3.3倍

出典:海上保安学校学生採用試験区分実施状況2022年度

試験区分 受検者数 1次試験合格者数 2次試験合格者数 倍率
大卒 321人(女性87人) 132人(女性36人) 107人(女性24人) 3倍

出典:海上保安大学校採用試験区分実施状況2022年度

表からわかるように、受験する人はしっかり対策を行い試験に望んでいるため、厳しい競争となるでしょう。

倍率が最も高い航空課程で4.8倍、平均倍率は3.3倍と課程区分によって倍率も異なります。

海上保安大学校の入試は厳しい?試験の難易度と合格率(倍率)・合格のための勉強法・試験対策

海上保安官の試験日程

海上保安官の2023年度の試験日程は、以下の通りです。

海上保安大学校(本科)の試験日程

受付期間 8月22日〜9月4日
第1次試験日 10月26日、27日
第一次試験合格発表日 12月6日
第二次試験日 12月13日
第二次試験合格発表日 2025年1月16日
入学月 2025年4月

海上保安大学校(初任科)の試験日程

受付期間 2月22日〜3月25日
第1次試験日 5月26日
第一次試験合格発表日 6月26日
第二次試験日 7月9日〜7月17日
第二次試験合格発表日 8月13日
入学月 2025年4月

海上保安学生(4月入校)の試験日程

受付期間 7月16日〜7月25日
第1次試験日 9月22日
第一次試験合格発表日 10月9日
第二次試験日 10月15日〜10月24日
第二次試験合格発表日 11月19日
入学月 2025年4月

海上保安学生(10月入校)の試験日程

受付期間 2月22日〜3月11日
第1次試験日 5月12日
第一次試験合格発表日 5月31日
第二次試験日 6月5日〜6月26日
第二次試験合格発表日 7月26日
入学月 2024年10月

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海上保安官の試験科目

海上保安官の採用試験は、海上保安大学校もしくは海上保安学校それぞれで異なります。

海上保安大学校(本科)試験

第一次試験

  • 基礎能力試験
  • 学科試験
  • 作文試験

第二次試験

  • 人物試験
  • 身体検査・身体測定・体力測定

海上保安大学校(初任科)試験

第一次試験

  • 基礎能力試験
  • 論文試験

第二次試験

  • 人物試験
  • 身体検査・身体測定・体力検査

海上保安学生試験

第一次試験

  • 基礎能力試験
  • 作文試験

第二次試験

  • 人物試験
  • 身体検査・身体測定・体力検査

海上保安官の試験対策

海上保安官になるためには、海上保安大学校もしくは海上保安学校の試験に受からなければなりません。

ここでは、試験対策について解説していきます。

一次試験対策

1次試験では、基礎能力試験と論作文試験が行われます。

基礎能力対策

海上保安官採用試験の基礎能力試験では、30問の問題を1時間50分で回答します。

一方、海上保安学校学生採用試験は、40問の問題を1時間30分で回答しなければなりません。

すべてマークシート形式で出題されますが、知識がなければスムーズに問題を解くことは難しいでしょう。

出題される問題は、知能分野(文章理解・判断推理・数的推理・資料解釈)知識分野(自然・人文・社会に関する時事・情報)です。

過去に出題された問題は、公式サイトにも掲載されているため、問題の傾向を把握しましょう。

論作文対策

論作文では、文章の表現力や課題に対する理解力・判断力・思考力などが問われます。

出題される内容は、時事的な問題に関するもの・具体的な事例課題により、海上保安官として必要な判断力を問うものそれぞれ1問ずつです。

自分で執筆した内容を添削してもらい、アドバイスをもらうなどするとよりよい論作文が書けるようになります。

二次試験対策

2次試験では、主に面接と体力検査を行います

面接対策

面接では、人柄や対人能力などを個別で確認します。

礼儀や表情はもちろん面接で厳しくチェックされる項目です。

また、チームワークも必要になるため、コミュニケーション能力があることも重要でしょう。

体力検査対策

海上保安官になるためには、体力も必要です。

体力検査では、反復横跳び・上体起こし・鉄棒両手ぶら下がりの3つを行います。

それぞれの合格基準は以下の通りです。

反復横跳び 100m間隔に引かれた3本のラインを20秒間のいちに何回サイドステップできるか確認する
男子44回以上・女子37回以上が基準
上体起こし ひざを曲げ、あお向けに寝た姿勢から30秒間のうちに何回上体を起こせるか確認する
男子21回以上・女子13回以上が基準
鉄棒両手ぶら下がり 水平に設置された直径2.8mmの鉄棒に両手でぶら下がり、両足を地面から離した状態を10秒以上耐えられるか確認する

どれか1つでも基準に満たないものがあれば、体力検査は不合格となります。

体力検査で行う運動を日頃から行い、トレーニングを積み重ねましょう。

海上保安官と自衛官の違い

海上保安官と自衛官は、同じ公務員ですが役割が異なります。

自衛官は、他国からの侵略に対して国を守る組織に属する人です。

必要に応じて、災害の支援活動や遭難船舶の捜索活動、急患輸送も行います。

一方、海上保安官は海の警察であり、消防の役割も担っています。

水路の測量や海図の作成など、海に関するさまざまなことを行うのが海上保安官です。

また、人員も自衛官の方が3倍多く、規模も異なります。

海上保安官になるには海上保安大学校もしくは海上保安学校の試験に合格しよう

海上保安官になるためには、海上保安大学校もしくは海上保安学校の試験に合格し、課程を修了しなければなりません。

試験難易度は決して甘くありませんが、試験対策をきっちりおこなえば合格も十分可能です。

また、他の試験にはない体力検査もあります。

体力検査を合格するためには、日頃からトレーニングに励むことも重要になるでしょう。