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裁判官の仕事内容や業務内容とは?再任と定年についても解説

更新日:2024-03-04

裁判官の仕事内容や業務内容とは?再任と定年についても解説

裁判官とは最高裁判所長官・最高裁判所判事・高等裁判所長官・その他裁判所判事・判事補・簡易裁判所判事であり、全ての裁判を行う官職の総称が裁判官です。

裁判官は日本国憲法第76条で「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定められています。

この記事では裁判官の仕事内容、業務内容に加え、再任・定年についてまとめています。

裁判官の仕事内容

裁判官の仕事内容や業務内容

裁判官の仕事内容は、公平で中立な立場から事件・事案を捉え、被告・原告、被告人・検察官の話を聞き法律と自身の良心に従って判断し、判決を下す事です。

検察官や弁護人から提出される資料や証拠品、証人の話から裁判を起こした人の主張が認められるのかどうかを判断し判決する為、両者の人生に関わることも多く、仕事内容は責任重大な事ばかりです。

実際の裁判官の仕事内容は一体どんなものなのかをご紹介していきましょう。

【裁判官の仕事内容】その① 民事裁判

裁判官の仕事内容のその①として民事裁判があり、民事裁判とは借金問題や近隣住民のトラブル、土地の境界問題や雇用問題等、社会生活を送る上での問題で裁判になる物を指します。

訴訟を起こした方を原告、訴えられた方を被告と呼び、原告から提出された訴状(訴えたい内容に書かれた文書)と初回の口頭弁論の期日を書いたものを被告へ送り、訴状についてどう考えるかの答弁書の提出と裁判所への呼び出しを行います。

そして両方の意見・主張を聞き、証拠を調べ判断していきますが、民事裁判ではその後の関係が改善されるよう両者が納得するよう和解を勧める事が多くあります。

【裁判官の仕事内容】その② 刑事裁判

裁判官の仕事内容のその②として刑事事件があります。刑事事件は法律で定められた犯罪、違法行為を犯したと疑われる者に対し、刑事責任の有無を問う手続きの事です。

民事裁判とは違い、訴えるのは検察官で、訴えられる者を被告人と呼び、罪を犯したかどうかを追及していきます。

被告人には検察官との法的な攻撃防御の能力に大きな差がある為、弁護士を選任する事が認められていて、刑事訴訟法の第289条1項で「死刑または無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件」では弁護人不在では法廷を開く事が出来ない為、裁判長の職権で弁護人を選任する必要があります。

【裁判官の仕事内容】その③ 少年審判・家事事件

裁判官の仕事内容のその③は少年審判・家事事件です。裁判は成人だけのものではありません。20歳に満たない少年少女(法律では少年に統一)でも非行や法に抵触した場合は法律の定める措置により裁判所にて手続きを行っているのです。

審判が必要な少年とは犯罪を犯した少年・法に抵触した少年・虞犯事由のある少年を指し、福祉的・司法的機能で少年の健全な育成をする為に自力での改善や更生を促す目的で少年保護手続きを行います。

家事事件とは離婚調停や相続や遺言、親子関係や親権等の家庭内で起こる事由に関して訴訟の形式を取らずに非公開で行われる事が多い家事審判手続きと家庭内の紛争について行う家事調停があります。

【裁判官の仕事内容】その④ 裁判以外のいろいろな仕事

裁判官の仕事内容のその④に、その他のいろいろな仕事として自身が担当する事案の訴訟の準備や手続きを認可する事に関する業務をしています。

訴訟の準備として、提出された膨大な資料を読み、過去の事例と照らし合わせながら法的に判断していく必要があり、その為に残業や自宅での調べもの、判決文の作成をするのですが、みなし残業とされる為残業手当はありません。

他にも民事事件では差し押さえの手続きや競売について、刑事事件なら捜査令状や逮捕状等の許可申請があれば発付する仕事もあります。

裁判官の判決で当事者である被告や被告人のこれからの人生を左右してしまうので、重い責任がありやりがいがある仕事内容ばかりなのです。

それぞれの裁判所の業務内容

裁判官の仕事内容や業務内容は裁判所の種類のによって異なる

裁判官の大きな仕事内容が分かった所で、各裁判所における裁判官の業務内容の違いをご紹介していきましょう。

裁判所には最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所の5つがあり、それぞれ業務内容に違いがあるのです。

一体どんな業務内容の違いがあるのか、それぞれの裁判所について詳しく説明いたします。

最高裁判所の業務内容

最高裁判所は司法権を担当する中で日本の最高機関で、最高裁判所長官1名と最高裁判所判事14名で構成されています。

最高裁判所長官には裁判官を任官していた人だけでなく、検察官や弁護士、大学法学部教授・准教授、行政官から任命されてる事と識見が高く法律の素養がある40歳以上のものから任命される(裁判所法第41条)と定められていますが、50歳以下の方が任命された事はありません。

最高裁判所の業務内容は日本国内で起きた裁判事件の最終的な判断を下す事であり、憲法の番人とも言われていて、終審裁判所である事が特徴です。

最高裁判所内には裁判部門と司法行政部門という部門があり、司法行政部門は最高裁判所事務総局・司法研修所・裁判所職員総合研修所・最高裁判所図書館、委員会・検討会で構成されています。

最高裁判所で行われる裁判は高等裁判所で行われた2審の判決でも不服な当事者により上告申し立てでしか開廷されず、最高裁の基本的な性質である法律審として通常は法律問題を主とした書面審理で行われます。

高等裁判所の業務内容

高等裁判所は下級裁判所の中の最上位で、全国に8ヵ所(東京都・大阪市・名古屋市・広島市・福岡市・仙台市・札幌市・高松市)の本庁と支部6ヵ所(金沢市・岡山市・松江市・宮崎市・那覇市・秋田市)、知的財産に関する係争を専門に扱う知的財産高等裁判所が東京都に1ヵ所、特別支部として設置されています。

高等裁判所の業務内容として、内乱に係わる事件、行政事件(法律により特に定められたもの)の1審以外は民事における地方裁判所・家庭裁判所の1審判決からの控訴、地方裁判所が2審判決をした事件の上告、刑事におけるものとして簡易裁判所・地方裁判所が1審判決したものの控訴を扱います。

基本的には裁判官が3名の合議体で行われますが、内乱罪や独占禁止法に関する事件は例外的に5人の裁判官で裁判を行います。

地方裁判所の業務内容

地方裁判所は各都道府県の県庁所在地と函館市・旭川市・釧路市の50か所に本庁を設置し、支部として203ヵ所の都市に設置されています。

地方裁判所の業務内容は原則的の訴訟の第1審を行う事ですが、簡易裁判所の民事事件の判決に対する控訴の2審や各種令状の発付手続きも行っているのです。

地方裁判所の組織は民事部と刑事部、事務局で構成されていて、それぞれが民事裁判、刑事裁判、司法行政を取り扱っています。

その他会社更生法・民事再生法・破産に関する手続きも地方裁判所の業務とされ行政事件、民事控訴事件は本庁が扱うとされています。

家庭裁判所の業務内容

家庭裁判所は各都道府県の県庁所在地と函館市・旭川市・釧路市の50ヵ所の本庁と203ヵ所の支部、77ヵ所の出張所で構成されています。

家庭裁判所の業務内容は家事事件・少年事件を専門に取り扱う事で、調停は原則非公開で当事者と裁判官・調停委員を交えて行われているのです。

主に離婚や親権に係わる扶養・養育費、遺産分割、罪を犯した若しくは犯すおそれのある少年少女等の事件、戸籍名・性別の変更や養子縁組等の審判をします。

他の下級裁判所との明らかな違いは取り扱う事件を法律で限定されている事ですが、業務内容の分配を定めただけで特別裁判所には当たりません。

簡易裁判所の業務内容

簡易裁判所は全国各地の主要都市・中小都市を中心に438ヵ所設置されています。

簡易裁判所の業務内容は訴額(訴訟の目的の価値)140万円以下の請求である民事事件、罰金以下(拘留・科料)の刑にあたる犯罪、賭博や横領といった一定以下の軽犯罪にあたる裁判や、調停委員を交えて話し合いで解決を図る為に行う調停があります。

刑事事件の1審を始めて、罪の重さが簡易裁判所の範囲を超える場合には、事件を地方裁判所に移送するといった事も出てきます。

簡易裁判所の裁判官は他の下級裁判所に配属されている判事とは違い、簡易裁判所判事という専門の階級で、適正な経歴や学位を持っている裁判所書記官・法学者のように司法試験を通過していない人でも任官出来る資格があります。

裁判官の再任

裁判官は内閣に任命されてから10年の任期制となっていて、再任されるには最高裁判所に設置された裁判官指名諮問委員会により下級裁判官として任命するべき人物を指名するかの適否や事項を審議し、それに基づいて最高裁判所に進言し、再任されます。最高裁判所裁判官は任期が無い代わりに10年ごとに国民審査を受けます。

裁判官指名諮問委員会の下部組織として全国8ヵ所の最高裁判所の所在地には地域委員会があり、指名候補者に関する情報収集が行われ、諮問委員会はこれを基に審議するのです。

裁判官の任命・再任に関して過去に問題があったことにより諮問委員会が設置され、裁判官として不適格であるとされる裁判官が増えるようになったといいます。

任期10年の区切り

裁判官は10年という期間を定められた雇用形態を取られています。通常であればそのまま定年まで再任願いを出せば再任される事が多く、再任願いを提出しなければ任期満了で退官出来ます。

心身の不調により裁判官を続ける事が難しくなった者や採用後に裁判官として不向きであることが分かった者が居ても、裁判官は身分保障が厚く退官させる事が出来ない為、10年という区切りをつけて再任しないように人員整理する必要があるのです。

裁判官が辞める時

裁判官が10年の任期満了や定年を待たずに辞める時には相応の理由があります。

一般の会社であるように心身の不調であったり懲戒処分になる事もあるのですが、その時には必ず法に従った方法を取るのです。

裁判官が辞める時には「裁判官分限法」と「裁判官弾劾法」という二つの法律で手続きを行います。

裁判官分限法

心身の不調にで裁判官を続ける事が難しくなった裁判官が自ら願い出た場合、もしくは裁判で判断された場合に裁判官分限法により免官(裁判で決定した場合は罷免)する事が出来ます。

ただ、基本的には回復を待つため、裁判官分限法により免官される事は無く、任期満了時に再任届を提出せずに本人から退職するか、任期満了で再任指名をしない事で免官されます。

裁判官分限法には停職や減給に関与する一面も有りますが、「裁判官の懲戒には戒告か1万円以下の過料(行政罰)とする」(裁判官分限法第2条)とされ、とても軽い処分であると言えるでしょう。

裁判官分限法

第二条(懲戒) 裁判官の懲戒は、戒告又は一万円以下の過料とする。

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裁判官弾劾法

裁判官が職務上の義務から大きく逸脱し違反した場合や職務を大幅に怠ったとされる場合、裁判官としての威信を失墜させるような事案をおこした場合には裁判官弾劾法により強制的に資格はく奪と共に罷免されます。

過去には事件記録を整理せずに放置し事件を失効させた裁判官や政治的な策略を講じた裁判官、児童買春やストーカー行為、盗撮等の刑事事件を起こした裁判官等が裁判官弾劾法により裁判にかけられ罷免されています。

裁判官弾劾法

第二条(弾劾による罷免の事由) 弾劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。

一 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。

二 その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。

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裁判官の定年

裁判官にも私たちと同じように定年(退官)の制度があり、最高裁判所長官・判事や簡易裁判所判事が同じく70歳に達した時に退官することが憲法(最高裁判所の裁判官は79条5項)や裁判所法(50条)で定められています。

下級裁判所判事の定年は65歳とされ、その年齢に達した時に退官することが憲法80条第1項ただし書・裁判所法50条で定められていて、一般の企業のように年度の切り替わりで退職するのとは少し違います。

定年後の過ごし方

裁判官として勤めてきた方は定年後にどのような生活を送るのでしょうか。

多くは破格ともいえる退職金や民間の1.5倍程度の年金を手に、悠々自適の老後の人生を送っているとも言われますが、下級裁判所判事から簡易裁判所判事に再任し、70歳までの5年間定年を延ばしている方もいます。

その他、定年後は公証人になる、弁護士になる、行政委員会の委員になる、法学部・法科大学院の教授になることもあります。

裁判官の仕事内容や業務内容は?再任や定年の解説 まとめ

私たちが普段目にすることも無く、ベールに包まれた存在でもある裁判官の仕事内容や業務内容についてお話させていただきました。

法曹三者の中でも公平中立な立場を守り、法の番人として司法のトップに立つ裁判官は10年の任期制で再任するかしないかを決める事が出来、定年まで勤務する事が可能な事が分かりました。

定年まで勤め上げない場合、再任拒否があった場合には法律で定められた手続きがあることも、普段の生活では目にする事もありませんしニュースで取り上げられる事も無いので、驚かれる方もいるかもしれません。

最高裁判所長官をはじめとする裁判官の仕事・業務の内容や再任・定年について以外にも裁判官についての記事がありますので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。

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