2022年10月21日、小室圭さんがニューヨーク州の司法試験に合格したことが話題になり、日本人がニューヨークで司法試験を受験することに注目が集まっています。
また、アメリカは賃金が日本より非常に高くなっていることもあって、言語の壁を越えられるのであれば、アメリカで弁護士になった方が金銭的には得だという意見もあります。
そこでこの記事では、ニューヨークと日本の司法試験の違いを解説した後に、ニューヨークの司法試験の合格率、合格発表、難易度などの詳細をご紹介していきます。
興味のある方は是非最後までご覧ください。
日本とニューヨークの司法試験の違いとは?
まず最初に日本とニューヨークの司法試験自体の違いを解説していきます。
ニューヨークと日本では司法試験の制度や難易度に大きな違いがあるようです。
日本とニューヨークの司法試験の受験資格の違い
日本の司法試験では、2年制の法科大学院を卒業するか、予備試験に合格することで受験資格を得ることができます。
しかし、ニューヨークでは予備試験のようなものは存在せず、基本的には3年制のロースクールを卒業した人に司法試験の受験資格が与えられます。
日本からニューヨークの司法試験を受験する場合は、ニューヨークのロースクールで3年学ぶか、日本の法科大学院を卒業後ニューヨークのロースクールで1年勉強することになります。
どちらにしてもニューヨークのロースクールを受験しなければならないので、大学時代から英語の勉強も進めておく必要があります。
日本とニューヨークの司法試験の難易度の違い
日本とニューヨークの司法試験の合格率を比較すると、日本は40%前後、ニューヨークは受験生全体で約75%となっています。
また、外国人がニューヨークの司法試験を受験した場合、合格率は50%前後となっているようです。
ですので、合格率のみで比較した場合ニューヨークの司法試験の方が難易度が低いということになります。
しかし、日本人がニューヨークの司法試験を受験する場合、言語の壁もありますので日本で受験する方が難易度が低くなるでしょう。
日本とニューヨークの司法試験の日程、合格発表の違い
日本の司法試験は年1回で、期間が非常に長く、短答式試験が5月中旬に始まり、最後の口述式試験が11月初旬に行われるため、試験期間は半年間に及びます。
それに比べて、ニューヨークの司法試験は年に2回で、7月と2月にそれぞれ2日間の試験期間で行われます。
合格発表は主に試験が行われた月の3ヶ月後に発表され、審査委員会が公式HPに司法試験合格者リストを掲載します。
これは日本の司法試験の合格発表と似ており、日本からでも合格発表を確認することが可能です。
ですので、試験日程には違いがありますが、合格発表には違いがほとんどありません。
日本とニューヨークの司法試験に関係する試験以外の違いとは?
次に、日本とニューヨークの司法試験の違いを解説していきます。
言語の違いは当然あるわけですが、試験の他にはどんな違いがあるのでしょうか?
州ごとに司法試験に合格する必要がある
日本ではどこで司法試験を受験しても同じ内容になっていますが、アメリカは州ごとに法律が違っているため、アメリカの司法試験「Bar Exam」は州ごとに内容が異なっています。
そのためアメリカで弁護士として活動する場合、自分が司法試験を受験した州のみに限定されることになります。
また、外国人の受験を認めていない州も多数あるため、日本人がアメリカで弁護士になる場合、大抵はニューヨーク州かカリフォルニア州になるようです。
大学と予備校の関係性
司法試験を受験するにあたって、ニューヨークでもロースクールに通いながら予備校にも通っている方が多くいらっしゃいます。
しかし、日本と大きく違うのはニューヨークの予備校とロースクールは協力関係にあるということです。
例えば、ニューヨークではロースクールの夏期休暇中に、大学内の講堂を予備校に貸し出し、学生を相手に予備校の授業を行っていたりします。
逆に日本では、ロースクールと予備校はどちらかというと商売敵のような関係にあるため、大学の講堂を借りるのではなく、オンラインスクールが発達しているのかもしれません。
日本とニューヨークでは関門が違う
日本とニューヨークでは司法試験に合格するまでの関門が異なります。
日本では法学部出身でなくとも、予備校に通い予備試験に合格すれば司法試験を受験できますし、法科大学院も有名大学でなければ比較的容易に入学できることがあります。
しかし、ニューヨークの場合はロースクールに通わなければ受験資格が得られず、そのロースクールが非常に難しくなっています。
具体的には、推薦を得るためには日本で言う所のGPA(大学の成績)が3.7以上(4段階評価)、入学試験は上位20%が合格ラインと言われています。
つまり、ニューヨークでロースクールに入学するということは、日本で医学部に入学するようなもので、法科大学院とは難易度が違うということが分かるでしょう。
さらに日本人がアメリカで生活しロースクールに通うためには莫大な費用が掛かりますので、司法試験自体よりも厳しいという可能性があります。
ニューヨークの司法試験の種類
ここからはニューヨークの司法試験の種類を解説していきます。
ニューヨークの司法試験の試験方式は、MBE(択一式)試験とMEE/MPT(論文式)試験の2種類があります。
配点はMBEが50%、MEEが30%、MPTが20%となっており、全体で400点中266点を獲得すると司法試験合格となります。
ニューヨークの司法試験の試験方式①:MBE
MBEは4択から正解を選ぶ試験で、試験範囲は以下の7科目となっており、日本の司法試験とは異なる科目もあります。
ニューヨークの司法試験範囲
- Civil Procedure 民事訴訟法
- Constitutional Law 憲法
- Contracts 契約法
- Criminal Law & Procedure 刑法及び刑事訴訟法
- Evidence 証拠法
- Real Property 不動産法
- Torts 不法行為法
試験は180分100問×2なので、択一式試験だけで6時間200問の試験が行われます。
問題の配分はContractsが28問・他の科目は27問となっていますが、実際試験の合否に関わるのは190問となっています。
残りの10問は試験の調査のために出題されるそうで、どれが調査問題なのかは明かされていません。
このMBEの勉強は非常に重要で、ここで得た知識をそのままMEEに活かすことが出来ます。
さらにMBEは得点しやすいと言われているので、MBEで高得点を狙いMEE/MPTを最低限で逃げ切るというのが最も推奨されている受験戦略のようです。
ニューヨークの司法試験の試験方式②:MEE
MEEは文章を読んで最大4問の小問に論述で解答する試験です。
6つの大問を180分で解くのですが、試験範囲が15科目とMBEより広くなっており、さらにその15科目から6~7科目がランダムで出題されます。
以下にMEEで加わった科目をご紹介します。
MEEで加わった科目
- Agency & Partnership 代理・組合
- Corporations 会社法
- Conflist of Laws 適用法選択の問題
- Family Laws 家族法
- Secured Transactions 担保権
- Trust 信託法
- Wills 相続
このMEEは出題範囲がギャンブルの要素を含んでいるため、アメリカの予備校ではどの範囲が出題されるかの予想を売っていることもあります。
しかし、ヤマを外した時のリスクが大きすぎるため、基本的には15科目全てを勉強していくことが重要なようです。
ニューヨークの司法試験の試験方式③:MPT
MPTはMEEよりもかなり長い文章を読んで、指定された形式の文章を作成する論述問題で、大問は2つ、試験時間は180分となっています。
そして、MPTはMBEとMEEの知識で解くことが出来る問題ですが、解答の作成の仕方をある程度学んでおかないと得点がしにくい試験方式です。
また、スピード感が求められる試験になっていますので、英語力が影響する試験にもなっており、日本人には少し不利と言われる試験のようです。
ニューヨークの司法試験対策で重要なこと
ニューヨークの司法試験対策で非常に重要なのは、BarBri模試と日本人ノートです。
BarBriとは、40年以上の歴史を持つ司法試験対策予備校で、多くの受験生が年1回7月に行われるBarBri模試で実力を確かめます。
特にMPTに関してはBarBri模試のみで対策するという方もいらっしゃるほどで、その重要性が良く分かります。
そして日本人がニューヨークの司法試験を受験する場合に大切になるのが日本人ノートです。
日本人ノートは、ニューヨークの司法試験で合格した人たちが残した、日本語で解説された勉強方法や解答が載っているテキストです。
日本人が作成した物であるため非常に読みやすく、ニューヨークの司法試験を受験する多くの人が読み込んでいます。
知り合いがいなくてもネット上で手に入るので、ニューヨークの司法試験を検討している方は是非活用してみて下さい。
ニューヨークの司法試験は日本と何が違う?合格率や難易度、日程までご紹介まとめ
この記事では、ニューヨークと日本の司法試験の違いを解説した後に、ニューヨークの司法試験の合格率、合格発表、難易度などをご紹介してきました。
ニューヨークの司法試験は、予備試験のような試験が無く、ロースクールを卒業する必要があり、日本の法科大学院を卒業していても1年はロースクールに通わなければなりません。
さらに択一式試験と論述式試験を2日間で行うため、それぞれに合否は無く、総合得点のみで司法試験の合否が判断されます。
試験以外の違いとしては、ロースクールの入学が非常に難しいことや、ロースクールと予備校が協力関係にあることなどが挙げられていました。
試験内容としては、択一式試験のMBE、論述式試験のMEE/MPTがあり、MBEをしっかり学習することが重要だと言われています。
ニューヨークで日本人が司法試験を受験するのは敷居が高いですが、弁護士になることができれば年収3,000万円も夢ではありません。
是非挑戦してみて下さい。
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