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伝統工芸士の資格はどんな試験?職人の称号はいつ決めるのか

更新日:2023-08-07

伝統工芸士の資格はどんな試験?職人の称号はいつ決めるのか

”伝統工芸士”とは、世界でも大きな注目を集めている日本の伝統工芸品を手がける職人のことです。
伝統工芸士になるには『国家資格』の取得が必要ですが、知識試験・実技試験・面接試験の詳細についても見ていきましょう。

職人の称号がどのように与えられるのか、そもそも伝統工芸士がどのようなことをしている職業なのかもご紹介します!

伝統工芸士とは?

伝統工芸士

日本の伝統工芸は世界中で人気があり、高く評価されています。その伝統工芸を手がけている職人が、”伝統工芸士”です。

伝統工芸に関わる仕事をしている人がそう呼ばれているわけではなく、伝統工芸士は国家資格を取得した人のみがそう呼ばれています。

人数は5,000人未満

伝統工芸士の資格は国家資格ですが、これまで担い手が少ないことが心配されてきました。
そこで、後継者問題を抱えている伝統的工芸品産業の需要拡大を見越して、1974年(昭和49年)に国家資格になったという経緯があります。

伝統工芸士の人数も決して多いとは言えず、2011年の時点では、認定登録されている伝統工芸士の数は全体で4,400人ほどでした。
そのうち女性の数は600人にも満たず、圧倒的に男性の方が多い職種であることが分かります。

伝統工芸士の資格を取得後は、それぞれの産地に伝わっている伝統工芸品を作るための技術や技法の研鑽に励み、保存などにも尽力していきます。
覚えた技は後世に伝えていくため、後継者の増加が願われています。

どんな試験を受ける?

それでは、伝統工芸士を目指すために、どのような試験を受けるのでしょうか。

国家資格としての難易度も比較的難しいとされており、合格率もおよそ65%ほどとされています。
試験の詳細は次のとおりです。

実務経験が12年以上ある人のみ

伝統工芸士の資格を取得するためには、試験を受ける段階で実務経験が12年以上ある人のみという受験資格が定められています。
伝統工芸士は職人の腕前を武器にしている世界のため、学歴などが問われることはありません。

各産地組合によっては、実務経験の年数を20年以上必要としているなど独自の内部規定を設けている場合もあるので、しっかりとチェックしておく必要があります。
さらに、その伝統工芸品の産地に居住していることも条件として挙げられています。

すべて自分の実力が物を言うため、技能の吸収が早い人ほど技も磨かれていくでしょう。

さらに、伝統工芸士の資格を活かして働くことにより、定年などもない業界なので好きなだけ働くことができます。
どこで働くかにもよりますが、資格手当にも似た「特別給与」を支給する職場もあるとされています。

試験は3段階

伝統工芸士の試験は、3段階に分かれて行われています。

まず、「知識試験」では伝統工芸士に関する専門的な知識や資質などが問われる内容が出題されます。
伝統工芸品の一般な知識に加えて技術や技法、原材料やその歴史、特色なども問題として出てくるため、入念に勉強しておく必要がありますね。

続いて「実技試験」では、その伝統工芸品に関する専門的な技術をどれほど持っているかが問われます。
規定の材料で決められたものを製作するので、12年以上にわたって磨いてきた自分の技を思う存分披露する時です。

最後の「面接試験」では、「知識試験」と同様にその伝統工芸品にまつわる専門的な知識がどれほどあるかや、伝統工芸士としての資質について問われます。
ちなみに、合格の判定は知識試験よりも実技試験と面接試験が重視される傾向にあるため、慣れ親しんだ作業や技術であっても油断は禁物です。

職人の称号についてですが、国家試験に合格したあと、産地委員会を通して伝統工芸士の登録申請をすることで授与されます。

伝統工芸士のメリットとは?

伝統工芸士の資格

まだまだ後継者不足に悩んでいる伝統工芸士の業界ではありますが、国家資格を取得することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

実際に伝統工芸士として働いている職人の一人は、次のように話しています。

信頼が得られる

国家資格を受験して伝統工芸士になると言うことは、第三者から自分の実力が認められたということです。
自分の伝統工芸士としての腕が、プロとして見込まれることは職人冥利に尽きますね。

つまり、伝統工芸士として大きな信頼が得られるということです。これは絶大なメリットと言えるでしょう。
さらに、伝統工芸品の知識も問われることで、改めてその歴史や技術の深さを学ぶことができ、自分の成長につながります。

日本伝統工芸展から作家へ

『日本伝統工芸展』とは、1954年(昭和29年)から毎年開催されている、工芸分野の中で最大級の展覧会のことです。

伝統工芸に携わっている人や、伝統工芸士たちにとっては憧れのステージとされています。
一体どのような展覧会なのでしょうか?

優秀な作品には賞が

日本伝統工芸展では様々な作品の部門があり、陶芸や人形、染織や木竹工、金工や漆芸など実に様々です。

数ある作品の中でも、とりわけ素晴らしく優秀なものには次のような賞が与えられます。
その賞とは『日本工芸会総裁賞』『NHK会長賞』『日本工芸会奨励賞』『高松宮記念賞』『朝日新聞社賞』『日本工芸会新人賞』『文部科学大臣賞』『日本工芸会会長賞』『東京都知事賞』『日本工芸会保持者賞』です。

これまでも日本伝統工芸展をきっかけとして、無数の伝統工芸士が作家として活躍する道を切り開いていきました。
また、伝統工芸士として個人で活動している人のみならず、弟子入りをしながら技を磨いている工人や、伝承されている工芸品の製作者の作品がたくさん見られる貴重な展覧会です。

伝統工芸品を見るだけでも、歴史や重厚感が伝わってくるはずです。

伝統工芸士についてのまとめ

伝統工芸士は、日本の伝統工芸品を手がける職人のことを言います。
日本の伝統工芸品は世界でも大きな注目を集めており、着物の織物や染物、漆、陶芸や刀匠など実に様々です。

伝統工芸士は後継者不足に悩まされており、1974年から伝統的工芸品産業の需要拡大を見越して国家資格となりました。
国家資格としては難易度はやや難しいとされており、合格率も65%程度となっています。

試験では伝統工芸に関する専門的な知識が問われる「知識試験」、伝統工芸を作る技術や技法、歴史などが問われる「実技試験」、伝統工芸士としての資質が問われる「面接試験」の3段階に分かれています。
いずれも基本的に12年以上にわたる実務経験が必要となっており、場合によっては20年以上の熟練の技を持っている人しか受験できない試験もあります。

素晴らしき伝統は、必ず誰かの手によって受け継いでいかなくてはなりません。
容易な試験ではありませんが、伝統工芸士として職人の称号を背負い、技術を得たいと考えている人にはオススメの資格ですね。

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