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司法試験の合格者を減らす動きが?今後は減少していくと予想される?

更新日:2022-09-20

司法試験は法曹を目指す上で避けては通れない難関国家資格試験ですが、近年その受験者数が減少しており問題視する声が上がっています。

そんな中受験者の方は「試験の難易度が変化するのではないか」「合格者者数調節のために合格ラインが引き上げられるのではないか」といった不安を抱えている事でしょう。

そこでこの記事では司法試験の合格者を減らす動きや噂について、司法試験受験者数の減少や合格者の推移などを踏まえて今後どうなっていくのかを解説していきます。

興味のある方は是非最後までご覧ください。


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司法試験の合格者を減らすべきと言われている理由は?

まず初めに、司法試験の合格者を減らすべきと言われている理由を解説していきます。

司法試験合格によって裁判官・検事・弁護士になることが可能ですが、問題の種になっているのはどうやら弁護士のようです。

弁護士の供給過剰

政府は、2002年3月、司法試験合格者数を2010年頃までに年間3000人程度に増員させることなどを内容とする「司法制度改革推進計画」を閣議決定した。この間、裁判官・検察官はほとんど増員されておらず、弁護士のみが増加する結果となった。2002年時点において1万8838人であった弁護士人口は、今日までのわずか10年余りの間におよそ1.93倍の3万6364人(2015年1月1日現在)にまで急増している。ところが、弁護士に対する法的需要が増加し続けるとの政府の予想は大きく外れた。裁判所が新たに受け付ける民事・行政裁判事件は2003年をピークに減少傾向にあり、現在はピーク時の6割程度にまで減っている。司法試験合格者の削減を求める決議

司法試験の合格者数を削減しようとする動きには、弁護士の供給過剰という現状が関係しています。

元々2000年頃に政府は弁護士に対する法的需要が増加していくと判断していました。
そこでこの司法制度改革推進計画を閣議決定し、弁護士を増やす方針を固めたのです。

しかし政府の予想に反し民事・行政裁判事件は減少の一途を辿りました(刑事事件に至っては元々弁護士業務全体の3%程度しか無い分野であるためほとんど影響がない)。

さらに1999年時点で39地域あった「ゼロ地域」と呼ばれる弁護士がいない過疎地は2008年までに無くなっており、結果として弁護士の供給過剰という状況が出来上がってしまったのです。

供給過剰による弊害はあるの?

新人・若手弁護士の割合を急増させ、その結果、十分なOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を受ける機会を新人・若手弁護士から奪うことになった。弁護士の急増とそれに伴う弁護士の供給過剰は、弁護士を廃業する請求登録取消者を急増させるまでに、弁護士の経済的基盤を急激に悪化させている。司法試験合格者数の削減を求める決議

弁護士の供給過剰による弊害には上記のような内容が挙げられています。

OJTとは弁護士業界特有の制度ではなくどんな業界でも用いられる制度で、先輩と共に仕事をしながら新人が仕事を覚えていく制度のことです。

しかし、弁護士の供給過剰により教える側の先輩の数が限られているのに対し新人弁護士が急増したことでOJTが成り立たなくなり、弁護士の質が下がっていくという状況が生まれています。

また弁護士が増えすぎたことによって辞めていく方も増えましたが、その中に有能な人材がいた場合弁護士業界の損失に繋がってしまったという考えもあります。

さらに弁護士の供給過剰によって弁護士業界はレッドオーシャンだと見なされ弁護士自体の魅力が減ってしまい、それが法曹志望者数が激減する要因になってしまっているのです。

司法試験受験者数と合格者の推移

司法試験合格者

次に司法試験受験者数合格者数、また合格率の推移についてご紹介します。

司法試験の合格者を減らすべきという意見がある中、現在の合格者数はどれくらいなのでしょうか?

受験者数・合格者数・合格率の推移

以下の表に過去10年間の司法試験の受験者数・合格者数・合格率を示します。

受験者数 合格者数 合格率
2012年 11,265人 2,102人 25.0%
2013年 10,315人 2,049人 26.8%
2014年 9,225人 1,810人 22.6%
2015年 9,072人 1,850人 23.1%
2016年 7,730人 1,583人 22.9%
2017年 6,716人 1,543人 25.9%
2018年 5,811人 1,525人 29.1%
2019年 4,930人 1,502人 33.6%
2020年 4,226人 1,450人 39.2%
2021年 3,754人 1,421人 41.5%

上記の表からも分かる通り受験者数は10年前と比較して1/3程度に減少しており、合格者数も段々と減少しています。

一方合格率は上昇傾向にあるようです。

受験者数減少を食い止める方法は?

司法試験の受験者数が減少している最も大きな原因は、弁護士の魅力が無くなってしまったことにあります。

魅力がなくなった原因としては以下のような事が挙げられます。

  • 年収の大幅ダウン
  • 希少価値の減少

年収については日本弁護士連合会が出している「弁護士白書」から見て行くと明確です。

弁護士白書を見ると、2006年における所得の平均値が1,748万円だったのに対して2018年での所得の平均値は959万円と6割程にまで減少しています。

また弁護士に対して希少価値やネームバリューで憧れを持っていた方々も、現在の弁護士供給過剰の状況を見て興味を失っているのです。

これらの原因は全て弁護士の人口が増えすぎたことに原因があるため、やはり受験者数を増加させるためにも弁護士の人口を減らす政策が必要であると考えられます。

司法試験の合格者数は今後減少するのか

ここからは上記の受験者数や合格者数データ、また日本弁護士連合会の主張などを踏まえ、今後司法試験の合格者数が減少するのかどうかについて解説していきます。

現在は合格者数は1,500人を基準にしている

司法試験の合格者数は減少傾向にあるわけですが、この先数年は1,400~1,500人程で安定すると考えられます。

これには以下2つの理由があります。

  • 2015年に政府が定めた方針では「年間1,500人程度以上」だったということ
  • 合格者数データからの分析

日本弁護士連合会などが法曹人口の制限を訴えたことにより、合格者数が減りつつも2015年の政府の方針転換により毎年1,500人程度は合格者が出るように調整されています。

また合格者数データを見て行くと2012年・2014年・2016年で合格者が大きく減少しており、2年おきに様子を見ながら試験難易度や制度を調整していたと考えられます。

そして2016年以降の合格者減少については日本弁護士連合会が意図したものではなく受験者数の減少に伴うものだと推測できるため、しばらくはこの数値で安定すると推測できます。

今後はどうなる?

弁護士会の本来の目的としては、弁護士の供給過剰を抑えることと弁護士の質を向上させることが挙げられています。

しかし年間1,500人の合格者を出し続けた場合、現役弁護士の人口は現在の41,000人から2030年までに50,000人を超え、さらに2040年までには60,000人を超えると予想されています。

つまり今の状態でも弁護士の供給過剰は抑えることが出来ず、また合格率が上昇していることから弁護士の質を向上させることもできていないと考えられています。

そのため今後の政府の方針や民事・行政裁判事件の増減による所はありますが、合格者をもう少し減らす動きが出てくる可能性はあります

司法試験の難易度が高まる可能性がある?

司法試験独学

司法試験のような国家資格は、突然難易度を上げ下げすることが難しくなっています。

これは、合格者のレベルを一定以上に保つためや不公平が生じないようにするためです。

しかし司法試験の場合は相対評価で合格者が決定されているため、試験の難易度ではなく合格基準を変更することで合格者数を調整することが出来ます。

上記で2012年から2年ごとに合格者数を調節したと記述しましたが、上手く1,500人程度に調節できたのも合格ラインの調整があったと考えられますね。

司法試験の合格者を増やすべきという意見も…?

司法試験の合格者を減らそうという動きがあるのに対し、むしろ合格者を以前の2,000人へ戻すべきだという意見もあります。

弁護士の供給過剰が起きている今、なぜそのような意見が出ているのでしょうか?

弁護士が不足している一面もある

企業の弁護士採用数は、2020年まで一貫して上昇している。採用企業数も2010年の259社から、2021年の1324社へと5.1倍に増加している。こうした企業の需要の上昇を背景に、東京を中心とした企業法務を扱う法律事務所の採用が伸びている。司法試験合格者の増加と合格率の上昇を求める理事長声明

弁護士の供給過剰が叫ばれる中、弁護士の需要が高まり弁護士不足に陥っている分野もあります。

それが企業内弁護士です。

特に最近ではIT業界での弁護士需要が顕著に伸びており、これはIT業界の発展が著しく進む一方法整備が追いついておらず様々な問題が発生しているためと考えられています。

特に大企業では発生する問題のレベルやそれに伴う損失の規模が大きく、企業内弁護士を設置しておく方が得策だと考えているようです。

さらに法律事務所での採用も増えているため、これらの状況が弁護士を増やすべきだという意見に繋がっているようですね。

司法試験の受験者数を増やすことにも繋がる?

法務省と文部科学省が2019年11月から12月にかけて実施した「法学部に在籍する学生に対する法曹志望に関するアンケート調査結果」によれば、「現在法曹等を志望・選択肢の1つとして考えている学生」の79.2%が法曹を志望することについて「不安や迷いを感じている」または「少し不安や迷いを感じている」と回答し、その理由の1位は「司法試験に合格できるか自分の能力に自信がない」であり、実に69.9%がそのように回答している。司法試験合格者の増加と合格率の上昇を求める理事長声明

2021年8月26日に出された「司法試験合格者の増加と合格率の上昇を求める理事長声明」では、上記のような内容が語られています。

近年ITや動画サービスなどの充実によって魅力的な働き方が増え、法曹への興味が失われつつあります。

それに加え法曹になるためには合格率の低い司法試験を突破する必要があり、そもそも受験資格を得るだけでも多大な労力と膨大な時間が必要になります。

そして司法試験に合格できなければ年齢を重ねた状態で社会人生活をスタートさせることになります。

そうなるとキャリアも大きく崩れるでしょう。

この声明には、合格者数を増やすことで上記のようなリスクを背負ってでも受験しようと考える方を増やすことが出来ると示されています。

民事・行政裁判事件が減少していることについては?

こうした指摘が根拠とする「新受件数」は、「過払金等事件」を含んだ数字であるところ、「過払金等事件」は、2006年1月の最高裁判決以降に生じた一過性の事象であり、弁護士の需要と司法試験合格者の数を検討する際に、「過払金等事件」を含んだ数字と比較することは適切ではない。司法試験合格者の増加と合格率の上昇を求める理事長声明

前述において「民事・行政裁判事件が減少している」という内容を示しましたが、「司法試験合格者の増加と合格率の上昇を求める理事長声明」によると、これは「過払金等事件」を含んだ数字となっているようです。

実は「過払金等事件」を除いた場合、原告と被告の双方に訴訟代理人が選任されている事件は2010年以降緩やかに増加しています。

つまり、一時的に増えた事件を考慮した上での数字で判断するのではなく長期的に起きている事件の数字で判断すると、必要とされる弁護士の数は増えていると主張しているのです。

司法試験の合格者を減らすべき?今後の動向まとめ

今回この記事では司法試験の合格者を減らす動きや噂について、司法試験の受験者数の減少や合格者の推移などを踏まえて、今後どうなっていくのかをご紹介してきました。

司法試験の合格者数を減らす理由については弁護士の供給過剰が挙げられており、これは司法試験受験者数の減少の原因でもあるとされています。

実際に合格者数が減少するのかについては、しばらくは今と同じ約1,500人程度だと考えられるものの今後減少する可能性は否定できません

また司法試験の難易度が高まる可能性についてですが、これに関しては可能性が低いと言えます。

理由としては、司法試験の合格者の調整は難易度ではなく合格ラインの調節によって行われるものと推測されることが挙げられます。

最後に、司法試験合格者を減らすのではなく増やすべきだという声明の存在も確認しました。

この点に関しては今後民事・行政裁判事件数がどう変わるか、政府がどんな方針を打ち出すかによって合格者を増やす可能性も十分あると考えられます。

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