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【人間国宝】落語家一覧!人間国宝の落語家の仕事内容&1日の生活

更新日:2023-10-04

【人間国宝】落語家一覧!人間国宝の落語家の仕事内容&1日の生活

歴史が古く、江戸時代から続く古典芸能である落語。現在落語家と呼ばれる人は約900人にも上ります。

その中でも人間国宝にまで上り詰めたのは僅か3人。重要無形文化財保持者として認定されました。

2000年頃から落語を題材にしたドラマや漫画も増え、落語に興味のある方も増えてきた今、人間国宝の落語家の仕事内容や一日の生活、収入に着目してみました。

人間国宝になった落語家一覧

人間国宝の落語家

落語家とは、落語を演じる事を仕事とし、毎日のように高座に上り、観客を楽しませる人の事を言います。

一人一人が得意とする噺は古典落語と新作落語があり、古典落語は江戸時代から明治・大正頃にかけて作られたもので、新作落語はその後新しく作られました。

人間国宝になられた落語家の方々は基本的に古典落語を得意演目とされ、落語の伝統文化としての保存に努めています。

五代目 柳家小さん

落語界初の人間国宝になられたのは「五代目 柳家小さん」で、1995年の事でした。

滑稽話を得意演目とし、そばをすする芸は日本一だと言われるほど有名であり、演目の主人公のようにそば屋でもつゆを少ししかつけずに食し、晩年は「汁を最後まで付けてみたかった」と後悔していたそうです。

弟子には立川談志や後述する十代目柳家小三治がおり、孫に俳優の小林十市、柳家花緑がいます。

落語界の功績として、真打昇進制度を創設したこともありますが、それがきっかけで協会分裂騒動や真打昇進試験の是非といった混乱が起きたともされています。

得意演目として、先述のそばの噺でもある「時そば」や「子別れ」「饅頭こわい」「うどん屋」「笠碁」等があり、中でも十八番としていたのは「大工調べ」「湯屋番」「粗忽長屋」であり、他にも多数の演目を演じました。

三代目 桂米朝

続いて二人目の人間国宝になられたのは「三代目 桂米朝」で、1996年の事でした。その後2009年に科学技術や芸術など、文化の発展・向上に功績を残したとして演芸界で初めて文化勲章も受賞しています。

米朝は上方落語の継承者であり、四天王、上方落語中興の祖としても活躍し、亡くなられた後は従三位という位を与えられた程の功績者でもありました。

米朝一門・事務所を率いて多数の弟子を育て、テレビやラジオ、映画にも出演しながら著書も多数出版されています。

弟子には長男である五代目桂米團治や月亭可朝、二代目桂枝雀、二代目桂ざこばのようなテレビで落語をせずにコメンテーターになっている方達を輩出していますが、後期には孫弟子に月亭八方・八光、桂南光、桂吉弥などの米朝の芸風に似た後継者を多数輩出しています。

得意演目として、自らが掘り起こした「地獄八景亡者戯」や「百年目」があり、その他「始末の極意」「口入屋」「蛇含草」など多数の演目を演じました。

十代目 柳家小三治

三人目の人間国宝になられたのは「十代目 柳家小三治」で、2014年の事です。

1969年に17人抜きの抜擢で真打に昇進して以来、優れた功績を残しながら現在も高座に上り続けていて、柳家伝統とも言える滑稽噺を得意としており、得意演目も五代目柳家小さんと似ていますが、小さんから直接教わった噺は少ないそうです。

現在は2010年に就任した落語協会会長を勇退し、落語協会顧問に就任されています。2005年には紫綬褒章、2014には旭日小綬章受章と文化の発展・向上の功績を認められた落語家でもあります。

弟子は現在9名で柳家〆治、柳家喜多八など少数精鋭と言えるでしょう。落語の構成(マクラ・本編・落ち)の中でも導入部分にあたるマクラが面白いと有名で「マクラの小三治」とも呼ばれています。

得意演目として「禁酒番屋」「不動防火焔」「初天神」「うどん屋」があり、十八番は「長短」「あくび指南」とされていますが、他にも多数の演目を演じています。

落語家の仕事内容と収入

落語家の仕事

落語家は落語を演じる事が仕事ですが、他にはどんな仕事をしているのかもご紹介していきましょう。

いくら毎日のように高座に上るとはいえ、それだけでは弟子を育てたり、家族を養うほどの収入を得る事は難しい事でもあります。

ちなみに上方落語界は年季と二つ目の2つしか階級が無く、売れるか売れないかしかありません。

一生が勉強で修行であると言われている落語家の仕事内容と収入がどうなっているのか、さっそく見ていただきましょう。

前座見習い

落語家は皆最初は前座見習いから始まります。昔は師匠の家に住み込んで生活を共にし、家事手伝いや師匠の身の回りの世話をしながら、師匠の技を盗んで覚えたのですが、現在は通いの弟子がほとんどだそうです。

師匠や兄弟子に付き、カバン持ちをしたり、前座になる為の修行や着物の着方や畳み方を覚え、師匠から許可が出れば晴れて前座となります。

食事は師匠の家で作り、食べさせてもらえますが、この頃は収入と言えるようなものは無く、お小遣い程度とされていました。

今では約5~7万円程度は頂けるようになりましたが生活はギリギリで貯金を切り崩している方がほとんどです。

前座

落語家として協会に登録され、お客様の前で落語を披露出来るようになった時に呼ばれる階級が前座です。

師匠の身の回りの世話に楽屋での掃除やお茶出しのような仕事、寄席では落語家の名前が記載されている「めくり」の準備をします。

寄席の途中では開場の合図と開演の合図の太鼓を鳴らし、先輩方のお世話をし、高座に上って落語を演じます。開演中も様々な仕事をして、師匠が高座へ上ると楽屋の後片付け、掃除をして閉演の合図の太鼓を鳴らします。

他にも師匠方に落語のけいこをつけてもらったり、他の稽古事に行ったりしながら毎日寄席に通い詰めます。

前座も師匠の家で食事を作り食べさせてもらえ、収入は良くて一日5000~1万円程度になり約7~10万円程度にはなりますが、休みは月に1度あるかないかという生活ですので時給換算するととても良いとは言えません。

二つ目

二つ目と言われる階級になると、師匠の家の雑用や楽屋・寄席での雑用が無くなり、生活も一人立ちし落語に集中する事が出来ます。

ですから毎日寄席に来なくなり、出番が減るので収入も自ずと減ることになります。着物も紋付き袴になり見た目は立派な落語家になる訳ですから、自身の力で高座を探さなくてはならなくなるのです。

それに伴い、落語の技術を磨かき、演目も増やしていかなくては高座も減るのでここが踏ん張りどころだと言えるでしょう。

人によってはだらけてしまい、師匠に喝を入れられたり破門されてしまう事も出てきます。

二つ目で1日の寄席の出演料は良くても約3~5万円程にはなりますが、それは地方に呼ばれるようになってからで、定席の演芸場では1日2000~3000円程度とも言われています。

ですから生活するのがギリギリな落語家から、少し余裕が出てくる落語家まで様々いるのです。

真打

真打という階級は寄席で一番最後に出演する資格を持ち、弟子をとることを許された立場となり、一人前の落語家としての始まりで弟子たちからは「師匠」と呼ばれるようになります。

真打に昇進すると特別興行(真打披露目)が行われ、口上を述べる事で真打に昇進したと認められるのです。

現在は真打が多く、一握りの人気真打がテレビやラジオなどで有名になっていますが、大多数は地方営業や独演会、お座敷に呼ばれて収入を得ています。

その他に執筆活動や落語のCDやデジタル音源などで収入を得ている真打もいます。

真打になると寄席の1日の出演料は5万以上となり、人間国宝になられた方や笑点に出ているような有名な方ですと数十~百数十万円とも言われています。

真打と言えど、人数が多くいるので毎日高座に上れるかは自分で仕事を取ってくるかにかかっています。ですから真打になれば生活が楽になるとも限らないのです。

落語家の一日

落語家の生活

落語家の方が、一日の生活をどう過ごしているのか気になりますよね。

細かいスケジュールはその流派・師匠方でも違いますし、個々の落語家さんで全く違います。

ですので、一日の生活の中でしている事を記載しています。

【一日の生活】前座見習い

通いの「前座見習い」は朝、師匠宅へ向かい、食事を作った後は家事手伝いや雑用をこなし、師匠のカバン持ちをして仕事先にお供をすることもあります。

毎日の食事作り、掃除に洗濯、師匠が快適に過ごせるように師匠の身の回りのお世話をさせてもらうのです。

【一日の生活】前座

「前座」になっても朝は師匠宅に向かい、掃除・炊事などをこなしてから寄席に向かいます。師匠と一緒に向かう際はカバン持ちもします。

寄席を持たない流派の前座は師匠宅で身の回りのお世話をさせて頂いたり、稽古をつけてもらいます。他の師匠の仕事があれば、そこへ向かう前座もいます。

【一日の生活】二つ目

「二つ目」になると朝から夜まで自分でスケジュールを決める事が出来ます。高座に上る以外は一人で、若しくは仲間と共に落語の勉強をしたり、高座に上らなくとも寄席に行って先輩方の落語を聞いて勉強したりします。

師匠の落語会に出演させてもらったり、自身でイベントを立ち上げたりしながら収入を得られるよう、自分で仕事を探しています。

【一日の生活】真打

「真打」になると定席の寄席で演じる事が多くなりますが、他にもメディアへの出演などで朝から仕事をする事も増えます。時間が出来ると弟子の稽古をつけたり、家族との時間を取ることも出来ます。

自身でも古典落語の稽古や新しく創作落語を作ることも落語界の伝承であり伝統になるので、真打になっても落語の勉強や研究はかかせないのです。

人間国宝になられたお三方は、皆さん落語だけでなく著書を持たれたり、俳優や声優といった仕事もこなされていました。高座だけでも忙しいはずの人間国宝ですが、落語界の将来の為に尽力し、日々努めています。


【人間国宝】落語家一覧!人間国宝の落語家の仕事内容&1日の生活まとめ

いかがでしたか?

今は人間国宝になられた方でも、最初は見習いから始め、落語を愛し勉強と修行を重ね、認められた素晴らしい方です。

私たちがテレビで見るような有名な方も、小さな寄席で毎日研鑽している方も、皆さん日本の伝統芸能である落語を次代に残していけるよう努力されていますし、日本全国を駆け回って収入を得ている落語家の方も多いです。

生活の中に落語が必ずあり、自身の努力と勉強が収入に繋がる仕事をされている落語家の事が少しでも分かっていただけたなら幸いです。