行政書士の仕事内容は主に書類を作成することですが、試験では司法試験と同様に法律に関する知識を問われます。
行政書士試験と司法試験の出題範囲は重なっている部分が多く、行政書士からのキャリアチェンジとして司法試験の受験を考える人が増えているようです。
そこでこの記事では行政書士試験を突破した人や考えている人向けに、行政書士試験は司法試験のステップアップに最適なのか・両試験の難易度の違い・司法試験を目指すメリットなどを解説していきます。
興味のある方は是非最後までご覧ください。
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目次
行政書士試験と司法試験の難易度の違い

まず最初に行政書士試験と司法書士試験の難易度の違いについて、合格率・出題範囲・出題形式の観点から解説していきます。
両試験は同じ法律系の資格試験ですが、どれ程難易度に差があるのでしょうか?
行政書士試験と司法試験の合格率の違い
行政書士試験の合格率は例年10~15%、司法試験の合格率は例年20~30%となっています。
そのため合格率で見ると一見行政書士の方が難しく見えますが、それは大きな間違いです。
理由として、行政書士に難しい受験資格が必要ない一方司法試験には法科大学院卒業又は予備試験合格という受験資格が必要ということが挙げられます。
この法科大学院卒業は2年かけて法律系の大学院を修了する必要があります。
また予備試験に受験資格はありませんが、合格率が4%という超難関試験となっています。
つまり、司法試験は何年かかけて法律の勉強をした人たちのみが受けられる試験なのです。
行政書士試験と司法試験の出題範囲や形式の違い
行政書士試験と司法試験の出題範囲は一部被っていると上記に示しましたが、司法試験の方が圧倒的に出題範囲が広くなっています。
また行政書士試験が択一式と記述式の試験である一方、司法試験は択一式(短答式)と論文式の試験になっています。
この論文式試験が非常に難しく、知識を生かせる前提で問題文から論点を読み解き結論を論証しなければなりません。
これらの理由から両試験は必要な勉強時間にも大きく差があり、行政書士試験は500~1,000時間、司法試験は3,000~8,000時間の勉強時間が必要であると言われています。
初学者の場合司法試験には10,000時間必要だという方もいらっしゃるようです。
行政書士試験と司法試験の問題レベルの違い
司法試験には民法や商法など行政書士の知識をそのまま役立てられるのでは?という範囲があります。
そのため行政書士試験に合格していればそれらの範囲を再度勉強する必要はないと思われがちですがそういうわけではありません。
確かに司法試験の短答式試験には行政書士の知識をそのまま吐き出すことで解答できる問題も存在しています。
しかし多くの場合全く同じ範囲でも司法試験の方が問題のレベルが高く、より細かく正確な知識が無ければ正誤を判断できない問題が増えてきます。
そういった意味で、行政書士試験に合格していても被っている範囲を再度勉強する必要があるのです。
行政書士から司法試験を受験するメリットは?

次に行政書士から司法試験を受験するメリットを解説していきます。
前述したように司法試験の方が圧倒的に難易度が高いわけですが、行政書士が受験する場合他の受験生と比較してどんなメリットがあるのでしょうか?
勉強時間を短縮し理解を深めやすい
行政書士が司法試験を受験する場合の最も大きなアドバンテージは、勉強時間を短縮し理解を深めやすいことです。
司法試験初学者と比較すると、概ね基礎が固まっていることや法律の勉強に対する苦手意識が無いためスタートラインに差があるとも言えます。
また司法試験受験者は精神的に不安になっていることが多いですが、行政書士に合格していることによって安心感を得ることも出来ます。
その他のメリットはあまりない
一方行政書士に合格していても科目の免除制度のような目に見えるメリットはなく、行政書士だからといって司法試験の合格率が跳ね上がるということもありません。
行政書士は司法試験へのステップだという意見はある意味正しいですが、ステップというにはあまりに大きな差がある階段だということを認識しましょう。
司法試験の受験は行政書士への1つのキャリアチェンジですが、そのまま行政書士として働く方が結果的に良かったという可能性も十分にあるのです。
行政書士が司法試験に合格するメリット

前述した内容からも分かる通り、行政書士になれたとしても司法試験合格は非常に難しく、多大な労力と時間を必要とします。
そのため合格しても大してメリットが無いのであれば司法試験合格を目指す意味はありません。
ここでは行政書士が司法試験に合格するメリットをご紹介していきます。
弁護士にキャリアアップできる
行政書士が司法試験に合格した場合、ほとんどの方が弁護士になります。
なぜなら、弁護士は行政書士としても登録が出来る完全上位互換の資格だからです。
ここで、行政書士と弁護士の違いを遺産相続の例を用いて簡単にで説明していきます。
遺産相続の場合、親族が話し合いある程度方向性が定まっている場合と親族同士で争いが起きる場合があります。
この時行政書士は書類を作成することしかできないため、前者にしか対応できません。
しかし弁護士であれば、書類作成を行えるだけでなく裁判まで発展しても継続して対応できるため、どちらの場合にも対応することができます。
また収入の面でも弁護士の方が高く、厚生労働省のデータを参考にすると行政書士の平均年収は584.4万円、弁護士の平均年収は945.4万円となっています。
これまでの経験をそのまま生かすことが出来る
弁護士は業務範囲的に行政書士の完全上位互換であるため、行政書士の仕事がそのまま弁護士に回ってくることもあるようです。
司法試験の受験者は社会人の方も多く様々な業界から人が集まりますが、弁護士になった後その経歴を最も活かせるのは行政書士だと言えるでしょう。
また既に独立開業している方は受けられる仕事の幅が広がり単価も上がるため、勤務行政書士よりメリットが大きくなっています。
司法試験以外のキャリアチェンジ

司法試験は、「何年も浪人し時間をかけたけれど最後には諦めてしまう」という人がいるほど難しい試験です。
司法試験に合格して弁護士になれば確かに大きなキャリアアップになりますが、リスクが大きいということも考えなくてはなりません。
そこでここからは司法試験合格以外の道についても解説していきます。
司法書士とのダブルライセンス
行政書士のキャリアアップとして最も有名なのが司法書士とのダブルライセンスです。
司法書士は不動産や企業の登記業務を行うことができ、行政書士と合わせることで不動産や起業の手続きを1人で完結させられるようになります。
依頼人からするとあちこち回らなくて済むため、ダブルライセンスは顧客から非常に喜ばれます。
また試験に関しても、司法書士試験は司法試験より難易度が低く行政書士の能力を生かしやすいため行政書士であることの恩恵が大きくなります。
司法書士の資格があれば独立開業も比較的楽になりますし、司法書士以外にも行政書士と相性の良い資格が多く存在することを知っておいてください。
一般企業への就職
一般企業の中には法務部を設立している会社もあり、そういった会社はある程度の規模があるため士業事務所で働くよりも待遇が良くなることがあります。
独立開業する気が無い方やある程度士業事務所で経験を積んだ方はこういった一般企業への転職も一つのキャリアチェンジになるでしょう。
しかし、一般企業へのキャリアチェンジには2つの問題があります。
1つ目は募集が少ないことです。
法務部と言っても何人も行政書士が必要なわけではなく、また募集が少ないということは倍率が高いということでもあります。
2つ目が、実務経験が重要視されるという点です。
行政書士の資格だけ持っている人を採用するよりも、実務経験が豊富な人を即戦力として迎えたいという傾向が強いため、若いうちに転職したいという方には難しい選択肢になるかもしれません。
行政書士から司法試験を目指す人はどんな人?

最後に、行政書士から司法試験を目指す人はどんな人が多いのかをご紹介していきます。
上記にも示した通り行政書士には司法試験合格以外にも多くの道がありますが、その中でなぜ司法試験を選択するのでしょうか?
一度挫折してしまった人
司法試験は非常に難易度の高い試験であるため、途中で挫折し諦めてしまう人も多くいらっしゃいます。
そういった方はそれまでの勉強が少しでも生きるように、行政書士や司法書士の道を歩むことが多いようです。
そして仕事が安定し「そろそろキャリアアップしたいな」と考え始めた時に、再度司法試験に挑戦したいと考えるそうです。
仕事の幅をもっと広げたい人
弁護士になることが出来れば行政書士時代よりも沢山の仕事を引き受けることが出来ます。
今抱えている顧客がさらに上のアドバイスや対応を求めているようなら、なおさら仕事の幅を広げていきたいですよね。
独立開業した後、そういった顧客との関係を考えて司法試験に挑戦する方もいらっしゃるようです。
また法律関係の仕事を通して「もっと大きな案件でバリバリ仕事がしたい」と感じ、弁護士を志す方もいらっしゃいます。
皆さんも「なぜ司法試験に挑戦したいのか」を明確にすると、過酷な勉強の中でモチベーションを保つことが出来るかもしれません。
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行政書士試験は司法試験のステップアップに最適?まとめ
今回この記事では行政書士試験を突破した人・考えている人向けに、行政書士試験は司法試験のステップアップに最適なのか・両試験の難易度の違い・法試験を目指すメリットなどを解説してきました。
まず難易度の違いとしては出題形式・出題範囲・問題内容全てにおいて司法試験の方が難しく、必要な勉強時間も司法試験の方が圧倒的に多くなっていました。
そのため行政書士が司法試験を受験するメリットは法律の知識面で少し楽になる程度で、特別有利になるというわけではないようです。
そして行政書士が弁護士になることのメリットは、キャリアアップした上で今までの経験をほとんど活用できるという点でした。
また行政書士には他にもキャリアアップの道があるため、司法試験の難易度が高いと感じる方は無理せず他の道を模索することをおすすめします。
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