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宮大工と大工の違いとは何か?年収や資格の差も検証

更新日:2022-11-19

宮大工と大工の違いとは何か?年収や資格の差も検証

神社やお寺などを建築・修繕する大工のことを「宮大工」と言います。大工の仕事は分類が多く、建物以外にも船大工や家具大工など、扱っているものや技術によって呼ばれ方が変わってきます。

一般的に家などを建てている「大工」と「宮大工」の違いは技術だけなのでしょうか?また、それによって年収も違いがあるのか、どんな事にやりがいを感じるのかを検証します!

宮大工とは?

宮大工とは

宮大工とは、日本の伝統的な神社仏閣や城、木造建築の重要文化財といった建造物を手がけている大工のことで、その歴史は古く、飛鳥時代まで遡ります。7世紀頃のことになりますが、朝鮮から僧侶が2人日本を訪れて、飛鳥寺を建立したことが由来だとされています。

神様や仏様が住む神社仏閣は修繕しているとはいえ現存するものでも1000年以上という耐久性があり、美しい曲線や装飾を備えています。

そのすべてを手作業で作り上げたのが宮大工であり、社寺建築なのです。

宮大工はベテランの職人の元で長い時間をかけて修行し、専門性の高い知識や技術が必要とされ、そして建築に関する知識以外にも、文化財についての深い知識も求められます。

宮大工とは①「木組み」の知識や技術を持つ

宮大工が何を修行するかというと、「木組み」という伝統的な工法です。神社やお寺はこの木組みの工法を用いて建てられており、一般的な家やビルなどを建てる際には使わない方法となっています。

一般的な建築物には、予め加工されている木材が使用されますが、木組みの場合は自らの手で削った木材を使用し、釘やボルト等をほぼ使わずに建てていきます。見習いの段階から、この木組みに関する知識や技術をしっかりと体得しておく事が必要です。

他に建築物に飾られている特殊で芸術的な装飾や、斗拱・蟇股・木鼻(ときょう・かえるまた・きばな)を施すためのセンスも重要になります。

宮大工とは②木材の切り出しや加工をする

一般住宅や建造物ではプレカットという先に工場でサイズ加工された木材を使う事が主流なのですが、宮大工は全て自分たちの手でサイズを測り、切り出しや加工をします

木組みに必要な加工も装飾に必要な物も全て、宮大工が持つ12種類以上の道具から生み出されているのです。

さらに仕事が終わったあと、道具の手入れも数時間かけて行います。良い仕事をする為には道具の手入れは欠かせないものであり大切な仕事なのです。技術も作業も、果てしない時間を費やしていくのが宮大工と言えますね。

一般的な大工とは?

続いて、一般的な大工についてご紹介します。

大工も宮大工と同じ様に木造建造物に携わるのですが、近年では一般住宅を手がける職人を大工と呼びます。工務店へ就職される方もいますが、基本的には一人親方に付いて学ぶ職人が多く、現場での作業を重ねることで基礎を学び、徐々に技術をアップさせていきます

現在はプレカット工法と言われる工場でサイズ加工された木材を、釘を使用して組み立てていく住宅が多く、伝統的な技法を使わなくなってきましたが、現場で細かい調整を行う事もあり、その際はベテラン大工職人が加工作業をしています。

一般的な大工とは①肉体労働以外の仕事もする

実務経験を重ねて大工として働きはじめたら、体力勝負の日々になります。しかし、大工は肉体労働だけが仕事だけではなく、実に様々な業務をこなしています。

現在では工務店に勤める大工の仕事もIT化が進んでおり、一部の会社では製図ソフトである『CAD』を使って図面を作成することもあります。さらには工程表を作る時もワードやエクセルを使っているので、どちらかと言えばパソコンが少しでも使いこなせる方が良いでしょう。

とくに経験も浅く、まだ若手の大工はCADが使えることで重宝される傾向にあるようです。

一般的な大工とは②施主と関わることが少ない

基本的に新築工事やリフォーム時には工務店に依頼する事が多く、大工職人に直接依頼する事がほぼ無いので、大工は施主と話したりすることがありません。あるとすれば挨拶や休憩時に飲み物を差し入れしてもらう時くらいでしょう。

大工は建物の骨組みや屋根や柱を作るときに必要で、設備や壁紙などは別の専門業者に依頼される為、現場に長く居る事が無いのです。最近の家屋はいくつもの専門業者が合わさり作られるようになっており、作業の専門化、細分化が起きています

プレカット工法では大工よりも建て方大工や鳶職の方が大工の役割を担う事も多いのですが、最近では数寄屋造りや人にやさしい木材を使った家屋を希望する方も増えている為、大工の未来にも光がさしてきています

宮大工と大工の修行年数の違い

大工と宮大工の違い

宮大工と大工は、修行の年数が大きく違っています。

同じ建築に携わる仕事であるにも関わらず、なぜそんなに違いがあるのでしょうか?

一人前になるまでの時間

大工の場合は、見習いから一人前になるまで2〜3年くらいの修行を積みます。
大体この年数の修行で基礎を学び、現場での仕事を任せてもらえるようになります。

その一方で、宮大工は一人前になるまでに10年ほどの時間を費やします。
一体なぜそんなに時間がかかるのかというと、覚えなければならない知識や、習得する技術の量が膨大だからです。

さらに、宮大工は神社やお寺を取り扱っているので、何百年も前の工法を知っておかなくてはなりません。
修繕や改築を行う時に、技術以外に歴史も学んでおいた方が良いのです。

宮大工と大工に通ずる資格とは?

宮大工と大工になるのに資格が必要ないと言っておきながら矛盾に感じるかもしれませんが、「あった方が良い」とされている資格は存在します。

この資格を取得していることで、どんなことに役立つのでしょうか?

技術を証明する制度もある

経験と腕前が物を言う大工の世界ではありますが、いくら「自分は経験も長く、何でもできる」と言ったところで自分の実力を示したことにはなりません。

そこで、『建築大工技能士』という検定を受けて合格することにより、技術があることを証明できます。
試験は1〜3級の区分に分かれていますが、実務の経験年数によって受けられる検定が違ってきます。

資格が不要の大工の世界ではありますが、仕事の幅を広げたいと考える方にはおすすめの資格です。

宮大工と大工の年収は?

一般的な大工と宮大工では、修行の年数や技術面が大きく違っています。

その2つの職業では、年収においても違いがあるのでしょうか?

宮大工の年収

まずは宮大工の年収からご紹介します。

現場に出る仕事としては、大工や宮大工は比較的高い収入が得られるとされています。

収入は日当ですが、見習いの段階では1日に1万円前後をもらっています。
これが経験を積んで腕が上がってくると1万5千円前後になり、棟梁のレベルだと2万8千円くらいになります。

これが年収になると、見習いのうちは350〜400万円前後なので、一般的なサラリーマンと同じくらいの額と言えますね。
一人前の宮大工ともなると年収が600万円ほどになり、かなりの高収入を得ている人だと1000万円を超える宮大工もいます。

1000万円を超えるような年収を得ている宮大工はごく稀であり、相当の技術があることが求められます。
まさに、究極の実力勝負の世界です。

大工の年収

大工の日当は、全国的に見ると平均で1万6千円ほどになります。
地域によって数千円の差がありますが、見習いの段階では8千円前後、技術面が優れた経験豊かな大工は2万円前後もらっているようです。

見習いのレベルでは月収が15万ほどのため、年収に換算すると200万円前後になります。
ベテランの大工は年収が800万円ほどと大きく跳ね上がり、こちらも稀に1000万円ほどの年収を得ている人もいます。

宮大工と大工の違いについてのまとめ

宮大工と大工は、同じように建築の仕事であっても大きな違いがいくつもあります。

扱っている木材も、既に加工されているものを使用しているのが大工ですが、宮大工は自分の手で木材を削ります。
さらに、どちらも棟梁のもとで弟子入りをしますが、修行の年数も大工は2〜3年、宮大工は10年と大きな差があります。

年収については、経験の年数や技術面が優れるほどに収入アップにつながることは、どちらも同じです。

資格がなくても良い世界ではありますが、『建築大工技能士』の検定に合格することで、自分がどの程度の技術を持っているか証明することができます。
建築の仕事をする際、どちらの道を選ぶのかを吟味して就職しましょう。