日本の代表的な老舗印刷企業である、凸版印刷株式会社。
そんな有名かつ業界最大手の凸版印刷ですが、「平均年収が業界ライバル企業と比べて低い」「残業が多くブラック企業である」との噂も存在しています。
そのため特に就職や転職を考えている方にとってはその実態が気になるところだと思います。
また、一般・総合職といった職種ごとの他、院卒であるかないかによる収入や待遇の差も知っておきたいですよね。
この記事では、これらの点について詳しく紹介していきます。
年代・職種別に見る凸版印刷の平均年収
2020年3月期の有価証券報告書によると、凸版印刷の平均年収は681.1万円です。
過去数年間の推移で見ても600万円台後半を維持し続けており、全国の平均と比較すると凸版印刷の給料は高いといえます。
国税庁が平成30年度に行った民間給与実態統計調査によると、1年間を通して継続勤務した給与所得者の平均年収は約441万円です。
また業種別の平均で見ても、印刷業含む製造業の平均年収は約519.5万円となっています。
凸版印刷の平均年収は民間平均より約240万円、業種平均より約160万円程高く、かなりの高年収の部類に入ることが窺えます。
凸版印刷の平均年収は製造業平均の約1.8倍
凸版印刷の平均年収はあくまで目安です。そこで、最も実態に近い数字を反映しているであろう年収中央値を見ていきます。
年代 | 平均収入 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|
20代 | 24.1万円 | 58万円 | 295.5万円 |
30代 | 33.8万円 | 81.3万円 | 414.5万円 |
40代 | 42.9万円 | 103万円 | 525.5万円 |
50代 | 49.6万円 | 119.1万円 | 607.5万円 |
引用:[平均年収681.1万円]凸版印刷の年収は実際いくらもらえるのか?
印刷業は製造業の一種であり、収入という観点では一般に全業種平均を下回る傾向にあります。
しかしながら、凸版印刷の年収中央値はいずれの年代においても前述した内容と同様、製造業の平均を大きく上回る数字であり、凸版印刷の年収はかなり高いことが分かります。
凸版印刷はここ数年の間順調に利益を伸ばし続けているので、社員の年収を比較的高い水準で維持できているのかもしれません。
ライバル企業との比較
印刷業界において凸版印刷と肩を並べる競合である、大日本印刷(DNP)との平均年収推移を比べてみます。
企業 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
---|---|---|---|---|---|
凸版印刷 | 670万円 | 695万円 | 691万円 | 664万円 | 681万円 |
DNP | 705万円 | 706万円 | 712万円 | 726万円 | 744万円 |
引用:JobQ
DNPと比較した凸版印刷の平均年収は、いずれの年においても低いことが分かります。
とはいえその差は10〜60万円程度に収まるもので、凸版印刷の年収が明らかに低いとは言えず、始めに述べた「業界ライバル企業より平均年収が低い」との噂は正確ではないことがこのデータから読み取れます。
職種による平均年収に大きな差はない
凸版印刷の職種ごとの平均年収は次のようになっています。
- 一般職:約300〜710万円
- 総合職:約370〜1000万円
- 技術職:約450〜700万円
総合職については1000万円を超えることもあり、年収の幅は広いことが分かります。
最低金額で見れば技術職が最も高い年収ですが、最高金額で見ると一般職とほぼ同額です。
基本的に凸版印刷の給与制度は全職種共通であり社内での職級によって給与が決まる仕組みのため、職種による年収の差はそれほどないと考えて良いでしょう。
一応の目安ではありますが、入社10年目までは約300〜400万円、その後部長、係長、課長…と昇格するごとに約100〜200万円程年収が増える、といった具合です。
つまり職種が違えど、年代が同じであれば年収はほぼ同じになります。
最終学歴による年収への影響
大卒か院卒かで年収に差があるのかも気になるところです。
以下では凸版印刷の初任給を見ていきます。
学歴による年収差は約24万円
凸版印刷が設定する初任給は、学歴ごとに個別に決められています。
2019年度4月の初任給実績は以下の通りです。
・学士卒:月給21万9500円
・修士了:月給23万7000円
修士了の方が学士卒に比べて約2万円程高く設定されています。
年単位で考えると約24万円ということになり、1ヶ月の給料分の差が生まれることになります。
最終学歴が年収に与える影響は、長期的な目線で見ればかなりの額の差として現れると考えられそうです。
凸版印刷の給与の内容
業種柄を考慮しても決して年収の低くはない凸版印刷ですが、実際に働くとなった場合年収だけが全てではないはずです。
そこで年収という表面的な数字だけではなく、何が給与を構成しているのか、その給与体系についても知っておく必要があります。
残業代が多くを占める
凸版印刷の給与は、月給(基本給+諸手当)の他、半年に1回の賞与により構成されています。
福利厚生の観点では充実した制度が用意されており様々な諸手当が整えられている凸版印刷ですが、「長年勤めているにも関わらず基本給が少ない」「残業が多い」という社員の声が多く聞かれるのも事実です。
凸版印刷の比較的高い年収水準は、残業ありきだとも言えるのかもしれません。
年収を上げる方法はある?
ここまでで触れてきたように、凸版印刷の給与は基本的には年代・職級によって決まる年功序列です。
管理職に就くためには4段階の職級ステップを踏む必要があります。
つまり凸版印刷では、上の職級へより速く上がることが年収アップの最短ルートだと言えるでしょう。
そのための制度が凸版印刷には整備されています。
昇格試験を受ける
凸版印刷では管理職になるまでに4段階の職級があり、いずれの職級においても昇格試験を受けることができます。
この試験を受けるためにはまず、年一回の評価で一定水準を満たしている必要があります。
この評価は、年度ごとに決められた目標に対する実績などを加味してなされます。
ここをクリアし受験資格を得て初めて試験に挑戦できます。
試験内容としては筆記やプレゼンが主ですが、筆記試験が特に難しいとの社員の声もあり、業界全体を深く理解した念入りな対策が必要なようです。
まとめ
ここまで凸版印刷の年収について、職種別、業種別、学歴別等、色々な切り口から見てきました。
思っていた凸版印刷と違った、という方もいるのではないでしょうか。
元々抱いていたイメージによって、受けた印象は人それぞれ違うとは思います。
凸版印刷の年収について簡潔にまとめると、「大手にしては少ないが、全国平均で見れば決して低くはない」ということです。
凸版印刷の年収は、確かに大手企業の割には比較的低いと言えます。
しかし、製造業という業界が全体としてそもそも低年収の傾向にあること、そして全国的な平均と比較すると凸版印刷の年収はかなり高いと言えます。
基本的には年功序列であるものの、昇級制度が設けられており、しっかり対策をすれば年収を上げることも十分可能なのです。
また近年では実力ある若手社員を管理職へ抜擢するなど、昇進の際に実力を重視する傾向が見受けられ、社内は徐々に変化しているようです。
今後の凸版印刷社内において、従来の横並びの年功序列制度がなくなることもあり得るのかもしれません。
いかがだったでしょうか。
凸版印刷への就職を考えている方、凸版印刷という企業について詳しく知りたい方を始め、読んで下さった方々にとってこの記事の内容が少しでも役に立ったならば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。