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航海士と機関士の違いとは?船舶職員の資格についても検証

更新日:2019-04-19

航海士と機関士の違いとは?船舶職員の資格についても検証

海に出て船の上で働いている仕事はいくつもありますが、『海技士免許』という国家資格に合格することで”航海士”や”機関士”になることができます。
では、この航海士と機関士の違いとは何でしょうか?

また、この2つを含めて船長や通信士などは「船舶職員」と呼ばれますが、なるために資格を取得するにはどうすれば良いのかを分かりやすく解説します!

船舶職員とは?

船舶職員

大海原を船で渡って航海するという仕事は、聞いただけでワクワクするような感じがしますね。そんな素敵なことを仕事にしているのが、”船舶職員”と呼ばれる方たちです。

船舶職員は『海技従事者免許』という国家資格を取得しなければならず、もちろん仕事である以上は楽しいことばかりではありません。
船舶職員は冒険が目的なのではなく、あくまでも物や人を目的地まで運んだり、船を安全に操縦することが仕事です。

さらに、海という自然が相手である以上、常に危険がつきまとっています。では、その船舶職員になるにはどうすれば良いのでしょうか?

国家資格を取得しよう

船舶職員になるには、まず『海技従事者免許』の国家資格に合格する必要があります。
この資格は1〜6級に分けられていて、航行する区域や、船の大きさ・種類に応じて違ってきます。

この資格を取得するには、「乗船履歴」が必要になります。
乗船履歴とは、ある一定の期間を実際に船に乗り、実習や運行に携わることです。

国家試験は身体検査と学科試験があり、そちらも併せて合格しなければなりません。

試験以外に必要なことは?

船舶職員になるためには、試験に合格すること以外にも大切なことがあります。

長期間を船の上で過ごす船舶職員は、一番の責任者である船長(キャプテン)のもと、大勢の船員とともに仕事をします。
そこに大切なのが”チームワーク”であり、円滑な人間関係を築くために”コミュニケーション能力”の高さも求められます。

さらに、どの仕事にも言えることですが、与えられた仕事を忠実にこなすための”責任感”や、大自然や船の中という厳しい環境下に置かれてもやっていけるだけの”忍耐力”も大事です。

”航海士”と”機関士”の違い

航海士と機関士

船舶職員は船長をはじめ、航海士や通信長・通信士、機関長・機関士として任務を遂行する人のことを指します。

それぞれが大事な役割を果たしていますが、今回は”航海士”と”機関士”の違いについてご紹介します。

具体的な違い

海技従事者免許の国家資格は「航海分野」と「機関分野」の2つがあります。

航海士と機関士は、船の上で担当している部分がまったく違います。
航海士は船の運航に関わる指揮を執っていますが、機関士は船に備わっているすべての機器を扱い、問題なく操縦できるように整備しているのです。

どちらも船を操縦するためには重要な役割であり、なくてはならない存在です。

航海士とは?

海技従事者免許の国家資格で、「航海分野」に合格すると航海士として働けるようになります。

船舶職員は大きく分けると3つの部署があり、「甲板部」「機関部」「無線部」となっています。
航海士はその中の「甲板部」に所属し、大型の船舶の場合は航海士が乗船することが義務になっています。

航海士の仕事は船を操縦することはもちろん、船の運航に関わる総指揮を執ったり、他の船員への指示出しや荷物の運搬などがあります。
航海士はとにかく多忙であり、気象や船、潮流に関する深い知識も求められます。

夜間も勤務し、他の船とぶつかることがないように双眼鏡やレーダーを使用して監視します。
これらは当然、ひとりでできることではなく、航海している間は複数名の航海士とともに24時間を交代制で行っています。

様々な場所で働ける

航海士は、実に様々な場所で働くことができます。

旅客を乗せて運ぶための船に乗って働くこともあれば、商船会社に航海士として就職する人もいます。
船の種類によって、若干はやることに違いが出てきますが、仕事内容に大きな差はありません。

航海士の休暇は?

休暇についてですが、日本国内だけを航海する”内航船”で勤務する場合は、3ヶ月船に乗ったあと1ヶ月の休みをもらえます。
国際航海をする”外航船”で勤務する場合は、さらに長い6ヶ月前後の乗船となり、2ヶ月の休みをもらえます。

機関士とは?

機関士は、国家資格の「機関分野」に合格することで機関士として働けるようになります。
所属するのは「機関部」で、機関長とともに働きます。ちなみに「無線部」で働いているのは通信長と通信士です。

機関士は、船の中にある様々な機器を管理し、操縦することが主な業務です。
機関部で最も重責を担っているのは機関長ですが、その機関長の下で任務を遂行していきます。

機関士も航海士と同じように、内航船・外航船のどちらでも働けます。資格を活かして、海上自衛隊の船や海上保安庁で勤務することが可能です。

船の”エンジニア”でもある

機関士の最大の特徴は、船を操縦する以外にも大きな役割があります。それは、船の”エンジニア”であることです。
機関士は船のエンジンやプロペラ、ボイラーや発電機といった部分を保守・点検・整備をしています。

機関士は「機関長」「一等機関士」「二等機関士」「三等機関士」という階級に分かれており、階級によって担当している箇所が違います。
階級が上であるほど、船の重要な機器を担当することができます。

航海士よりも休める?

上陸の許可が下りている場所であれば、航海士も機関士も外出ができます。

しかし、当直制がある航海士と違い、機関士は船の停泊中に作業がなければ自由な時間を多く取れるのです。
そういった意味では、航海士よりも機関士の方が休めると言えますね。

また、航海士は当直で任務を行っていますが、機関士は機器にトラブルなどが起きなければ自由時間を好きなように過ごすことができます。
仕事の内容に加えて、休暇についても大きな違いがあるのが特徴です。

航海士と機関士についてのまとめ

船舶職員である”航海士”と”機関士”は、同じ船の上で活躍しながらも仕事に大きな違いがあります。

航海士が船を安全に操縦するための総指揮を執る立場であるならば、エンジニアでもある機関士は船の機器に異常がないかを入念にチェックし、点検や整備を行っています。

この2つの職業に合致している点は、どちらも「海が好き」であることです。海や船に興味がなければ、長期間を海上で過ごすことは困難でしょう。

周囲との調和を大切にすることができ、航海を仕事にしたいと考えている方にはぴったりの仕事と言えます。