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弁理士の選択科目の内容と選び方は?免除を受けられる科目もある?

更新日:2024-03-05

弁理士の選択科目の内容と選び方は?免除を受けられる科目もある?

弁理士試験は誰でも受験可能である一方、非常に難易度が高い試験であり、令和5年度弁理士試験では合格率6.2%という結果でした。

総学習時間は3,000時間と言われており、国家資格でも屈指の難易度となっています。

特に論文式筆記試験の選択科目が難関ポイントと言われており、対策に多くの時間を必要とします。

しかし免除制度も用意されているため、選択科目の内容を把握し免除制度を理解することで合格に大きく近づくことができます。

この記事ではそんな弁理士試験にチャレンジする人向けに、選択科目の内容と選び方免除可能な科目とその条件の2点を中心に解説します。

是非最後までご覧ください。

弁理士試験の試験概要

弁理士試験は短答式筆記試験・論文式試験・口述試験の3種類から構成されています。

短答式筆記試験の合格者が論文式筆記試験を受験することができ、両方の試験合格者が口述試験に進むことができます。

今回の主題である選択科目は論文式試験にのみ適用されている科目となっています。
もう少し詳しく弁理士試験の概要についてご紹介します。

選択科目が行われるのは論文式試験のみ

上記でも述べた通り、論文式試験にのみ選択科目と必須科目があります。

合格点は論文式試験全体で54%以上の正解率が必要で、各科目ごとの正解率は必須科目が47%以上、選択科目が60%以上の正解率となっています。

論文式試験は選択と必須の2つに分けられる

前述したように弁理士試験には3種類の試験があり、その中で論文式試験のみ選択科目・必須科目の2つに分かれています。

受験願書を提出する際に受験する選択科目の申し込みを行い、当日の変更はできません

選択科目の合格点は60%以上の正解率となっており、また問題数が非常に少ないという特徴があります。

選択科目が重要ポイント

選択科目はどの科目を選択するかによって問題数が変わりますが、多くても10問前後です。

少ない問題数の中で60%以上の正解率を出す必要があるため、選択科目にどれだけ多くの学習時間を割り当てることができるかが重要なポイントと言えます。

また、弁理士試験の難易度が高い理由は専門性の高さにもあります。

次の項目では選択科目の種類と内容について解説します。

弁理士試験の選択科目

弁理士試験には以下の選択科目があります。

  • 理工Ⅰ(機械・応用力学)
  • 理工Ⅱ(熱学・物理)
  • 理工Ⅲ(化学)
  • 理工Ⅳ(生物)
  • 理工Ⅴ(情報)
  • 法律(弁理士の業務に関する法律)

このように理系の選択科目が多く(文系科目は民法のみ)、年によっては大学院の入試レベルの問題が出題されます。

またそれぞれの科目にさらに細かい選択肢があります。

受験者は上記の選択科目から1つを選択し、さらにその選択科目の中に用意されている受験項目の1つを選択する必要があります。

細分化された受験項目を下記の表にまとめました。

理工Ⅰ(機械・応用力学) 材料力学・流体力学・熱力学・士質工学から1種類
理工Ⅱ(数学・物理) 基礎物理学・電磁気学・回路理論から1種類
理工Ⅲ(化学) 物理化学・有機化学・無機化学から1種類
理工Ⅳ(生物) 生物学一般・生物化学から1種類
理工Ⅴ(情報) 情報理論・計算機工学から1種類
法律(弁理士の業務に関する法律) 民法のみ

選択科目の選び方とおすすめ科目は?

弁理士試験はどの選択科目も非常に専門性が高いため、効率良く学習するには自身に合った選択科目を見つける必要があります。

しかし自身に合う選択科目が見つからないという場合もあります。

特に文系の受験者はどの選択科目にチャレンジするのかを慎重に選ぶ必要があります。

ここでは選択科目の選び方おすすめ選択科目を解説します。

理系は全ジャンル/文系は法律一択

理系の大学生や理系大学の卒業生であれば、理工Ⅰ~理工Ⅴのどれを選択しても合格レベルに到達できる可能性があります。

そのため法律を含む6科目から最も得意な1科目を選択するようにしましょう。

一方文系の大学生や文系大学の卒業生は法律が狙い目です。

法律のレベルが低いというわけではありませんが、数字が苦手な方が大学入試レベルの数学を覚えるよりはハードルが低いのです。

全ての科目を学習するのではなくまずはどんな出題内容かを確認した上でチャレンジする科目を決定し、他の科目は捨てるようにしましょう。

おすすめ科目|理工Ⅴ(情報)の情報理論

選択科目は法律以外理系の内容になっています。

そのため文系の受験者は法律を選択することが多いですが、文系の生徒が法律以外の理系選択科目を狙うこともできます。

理系選択科目の中でも、理工Ⅴ(情報)の情報理論文系受験者でも合格点を狙うことができるためおすすめです。

情報理論は複雑な数式や確率問題が出題されますが、その難易度は高校数学レベルだと言われています。

そのため、数字に苦手意識がある人でも高校数学まで学習することができれば十分に合格を狙うことができるのです。

また、専門的な知識が必要ないという点も大きなポイントです。

おすすめ科目|法律の民法

もちろん民法もおすすめです。

出題される問題のレベルは高いですが、出題の傾向がパターン化されているため全ての法律を覚える必要はありません

過去問にしっかり取り組むことで、法律知識がない状態でも比較的楽に高得点を狙うことができます。

また民法は日常生活に関連する判例や例題が多く出題されているため、「学習を始めてみたら意外と面白かった」という声もあります。

計算や空間把握という問題ではなく日常生活のトラブルが難しい文章になって出題されます。

そのためまずは、どのようなトラブルなのかをイメージし法律に沿った問題解決を記載していくことになります。

理工Ⅰ~理工Ⅴに出題される問題とは違い現実的な問題として取り組むことができるため、文系受験者は必ず一度は目を通すようにしましょう。

実際弁理士試験を受験した人の中でも情報理論と民法の選択者は多いようです。

選択科目に迷って決められない人は、情報理論か民法にチャレンジしましょう!

弁理士試験の免除制度

弁理士試験は必須科目・選択科目ともに免除制度があります。

免除制度とは一定条件を満たすことで試験を受けなくとも良くなるというもので、選択科目は1度免除を取得すると永久的に免除を受け続けることができます。

各専門学校の試験対策にも、試験免除取得→試験合格というパターンを有力としている内容が多く見受けられます。

資格勉強を有利に進めるためにも、免除制度については詳しく知る必要があります。

ここからははそんな免除制度について詳しく解説していきます。

必須科目の免除制度

必須科目の試験免除を受けるためには幾つかの方法があります。

大きく分けると以下の2種類になります。

  1. 試験に1度でも合格する
  2. 免除に値する資格を保有している

それぞれ詳しく見ていきます。

試験に1度でも合格する|筆記試験合格者

短答式筆記試験に合格した方は、短答式筆記試験の合格発表の日から2年間同試験が免除されます。

免除に値する資格|大学院修了時点で工業所有権に関わる科目を取得→工業所有権審議会の認定を受けた者

この項目に該当する方は、上記と同様2年間の免除を受けることができます。

免除対象は工業所有権に関する法令と条約に関する科目です。

ただし短答式筆記試験のみが免除となり、論文式筆記試験の免除は対象外となるのでご注意ください。

免除に値する資格|特許庁において審判又は5年以上事務に従事した者

特許庁で審判業務に従事した方もしくは審査の事務に5年以上従事した方においても、上記と同様に工業所有権に関する法令と条約に関する試験科目が免除されます。

選択科目の免除制度

選択科目の免除制度は、その対象者になった場合永久的に免除となります。

免除することができれば合格の確率も大幅に上げることができますので、確認しておきましょう。

選択科目に1度でも合格する

選択科目に1度でも合格すると、翌年以降は試験が免除されます。

選択科目を免除することができれば、選択科目に当てていた勉強時間を自分の苦手分野や違う教科の学習に当てることができます。

自分の苦手分野などは時間をかけて学んでいくことが大切なので、少しでも長く学習時間を確保できるのは良いことですね!

修士/博士/専門職といった学位に基づいた選択科目免除資格の認定を受けた者

また、1度合格する以外にも免除を受ける方法があります。

それは大学院に進学した方の中で工業所有権に関する科目を修得しており、かつ工業所有権審議会から認定を受けた方が対象となっており、これらの条件を満たすことで同試験が免除することができます。

流れとしては、工業所有権審議会に必要な書類などを揃えて提出し「書類審査」によって受験者が免除の規定を満たしているかを確認した後、受験者に免除可能の通知が来るという仕組みになっています。

特許庁指定の公的資格を所有している者

特許庁が指定する公的資格を所有している方は各資格に対応した選択科目が免除になります。

対象となる資格と免除対象となる選択科目は以下の通りです。

  • 一級建築士:理工Ⅰ(機械・応用力学)
  • 第一種もしくは第二種電気主任技術者資格:理工Ⅱ(数学・物理)
  • 薬剤師:理工Ⅲ(化学)
  • 電気通信主任技術者資格:理工Ⅴ(情報)
  • 情報処理安全確保支援士試験の合格書交付を受けている者:理工Ⅴ(情報)
  • 司法書士・行政書士及び司法試験に合格した者:法律(弁理士の業務に関する法律)

また上記以外にも、技術士の資格を保有している者や情報処理安全技術者試験合格者は一部免除対象となります。

弁理士試験の選択科目の選び方と免除について|まとめ

弁理士試験の選択項目は6種類ありますがそれぞれ細かく受験項目が分かれており、実質15種類から選択することになります。

どの科目においても合格点に到達するためには専門的な知識を必要とするため、当記事を参考に自身に合った科目を選択するようにしましょう。

おすすめは理工Ⅴ(情報)の情報理論・民法の2つです。

実際にこの2つを選択する受験者は多く、合格率も高くなっています。

また選択科目には免除制度があり、免除期間は永久的です。

免除を受けると他の試験に学習時間を割り当てることができるため、学習をスタートする前に必ず自身が免除制度の対象になっていないかを確認してみましょう。