法曹を目指して司法試験に合格した後は、最高裁判所の採用選考を経て司法修習生となり、約1年間の司法修習を受けることになります。
この司法修習の最後に待っているのが司法修習生考試、通称「二回試験」です。この試験に合格して司法修習を修了すると、弁護士や検察官・裁判官になるための資格を得られます。
この記事では司法修習生考試とは何か・試験内容や不合格になった場合の対応、不合格にならないための対策を紹介します!
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※制度・日程に関する情報は、2026年9月24日時点で確認した内容です。具体的な日程や手続は、対象となる修習期の公式案内をご確認ください。
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司法修習生考試(二回試験)とは
司法修習生考試とは、約1年間法律実務を学んだ司法修習生に対して行われる最後の試験です。
「司法修習生考試」が正式名称ですが、司法試験に続いて2回目に行われる試験であるため「二回試験」とも呼ばれます。
司法修習では、法理論教育や実務の基礎的素養を前提として、法曹に必要な実務能力を身につけます。二回試験に向けては、司法修習中に学んだ内容を理解し、答案として表現できるように対策することが重要です。
参考:裁判所「司法修習生」
司法修習生考試(二回試験)の出題内容
司法修習生考試は「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目から出題されます。
各科目では、配布された事件記録を読み込み、裁判・検察・弁護のそれぞれの立場から、設問に応じた答案を作成します。
起案作業は司法修習中にもたびたび行うことになり、作成した答案を講評や討論を通じて見直します。
民事裁判科目
民事裁判科目では、民事事件の記録に基づき、裁判官の立場から、設問に応じた判断とその理由を文章にまとめます。
要件事実や事実認定など、設問で求められた事項を検討します。使用する記録の数や答案の形式が、毎回同じとは限りません。
刑事裁判科目
刑事裁判科目では、刑事事件の記録に基づき、裁判官の立場から、設問で求められた事実認定や法律判断などを文章にまとめます。
何を検討するよう求められているかを確認し、証拠や法律に基づいて判断の理由を示すことが大切です。
検察科目
検察科目では、捜査記録に基づき、検察官の立場から、事件の処分や証拠の評価など、設問で求められた事項を検討します。
結論だけでなく、その判断を支える事実や証拠、法律上の理由を整理して答案を作成します。
民事弁護科目
民事弁護科目では、民事事件の記録に基づき、依頼者の立場を踏まえて、設問で指定された書面や検討内容を作成します。
依頼者の主張や立証方針などを整理し、何を記載するよう求められているかを正確に把握することが重要です。
刑事弁護科目
刑事弁護科目では、刑事事件の記録に基づき、弁護人の立場から、設問で指定された書面や検討内容を作成します。
被告人の主張や証拠関係を踏まえ、弁護方針や必要な弁護活動などを検討します。
参考:司法修習生考試委員会「司法修習生考試実施要領」等(第77期配布資料の公開写し)
司法修習生考試(二回試験)の日程
司法修習生考試は上記の5科目を1日1科目、計5日間に渡って行われます。
実施時期は修習期によって異なります。第78期は2026年3月2日~6日に実施され、第79期の考試初日は2027年3月上旬の予定と案内されています。
第78期の応試心得では、1日の答案起案時間は10:20~12:00と13:00~17:45の計6時間25分です。答案起案終了後には、別に5分間の答案綴り込み時間が設けられています。
12:00~13:00の1時間は昼食時間ですが、この時間中も答案の起案が認められています。長時間にわたる試験のため、集中力と体力が求められます。
第78期では、指定された答案用紙に手書きで答案を作成し、特に指示がない場合は1行おきに記載する方式でした。答案作成や提出の方法は、受験する期の応試心得に従いましょう。
成績は優・良・可・不可の4段階で判定され、一つでも不可判定があると不合格となります。合否は、修習成績と考試の結果に基づいて司法修習生考試委員会が決定します。
出典:司法修習生考試委員会「第78期司法修習生考試応試心得」(公開写し)、最高裁判所「司法修習生採用選考」、司法修習生考試委員会「司法修習生考試実施要領」等(公開写し)
司法修習生考試(二回試験)までの道のり
司法修習生考試は司法修習の最後に行われる試験です。二回試験に合格するためには、それまでの修習にしっかり取り組みながら、試験の対策を立てていくことが非常に重要です。
司法修習は、導入修習、分野別実務修習、集合修習・選択型実務修習を経て、最後に二回試験を受ける流れです。
第79期の修習日程は、次のように案内されています。
- 導入修習:2026年3月19日~4月10日
- 分野別実務修習:2026年4月14日~11月20日
- 集合修習または選択型実務修習:2026年11月下旬~2027年1月中旬
- 選択型実務修習または集合修習:2027年1月中旬~2月下旬
- 司法修習生考試:2027年3月上旬開始予定
集合修習と選択型実務修習の順序は、実務修習地によって異なります。考試の詳細な実施日程や結果発表については、対象となる修習期の案内を確認してください。
出典:最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」、最高裁判所「司法修習生採用選考」
司法修習生の採用申込み
司法試験に合格した後、司法修習生となるためには、最高裁判所が実施する採用選考に別途申し込む必要があります。
第80期に当たる令和8年度の採用選考では、受付フォームへの入力期間は2026年11月11日17時~11月18日正午、申込フォームへの入力と必要書類のデータ提出の期限は11月27日15時です。採用発令日は2027年3月19日とされています。
受付フォームへの入力と、申込フォーム・必要書類の提出は、それぞれ期限が異なるため注意しましょう。
実務修習は指定された実務修習地で行われます。実務修習地の希望に関する手続や、修習開始前に取り組む教材・課題についても、その期の案内に従って準備してください。
導入修習
導入修習は埼玉県和光市にある司法研修所で行われ、起案の初歩的な考え方や事前課題の解説といった講義、グループワークに取り組みます。
第79期の導入修習は、2026年3月19日~4月10日の約3週間です。
修習のガイダンス的な役割がありますが、導入修習でも起案に取り組むため、配布された教材や課題を確認し、事前に準備を進めておくことが大切です。
分野別実務修習
司法修習の大部分がこの分野別実務修習です。
全国の修習地で行われ、「民事裁判」「刑事裁判」「弁護」「検察」の4分野について、それぞれ約2ヶ月ずつ修習を受けます。
裁判所・検察庁・弁護士会に配属され、裁判官・検察官・弁護士の指導の下で、実際の事件処理を体験的に学びます。
選択型実務修習
選択型実務修習では、いくつかの修習プログラムのうち、興味のあるものを選んで修習します。
各配属庁会や全国の様々な場所で行われるプログラムなどを通じて、自分の関心や進路に応じた実務を学びます。
プログラムによって修習内容や期間が異なるため、実施要領や募集案内を確認しながら、学習目的に合うものを選択しましょう。
集合修習
集合修習では民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護の5科目について、講義や起案、講評などを通じて学びます。
起案や模擬裁判に取り組み、実務修習で得た経験を整理しながら、法曹として必要な実務能力を高めます。
集合修習期間で、司法修習生考試に向けて学力をしっかりつけることになります。
参考:裁判所「司法修習生」、最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」
各修習で起案の予行練習ができる
司法修習では、起案に取り組み、指導や講評を受けながら答案作成の力を高める機会があります。
起案の実施回数や時期を一律に捉えるのではなく、自分の修習日程に沿って取り組みましょう。
作成した答案は、講評を踏まえて、事実認定や法律判断の根拠、文章の構成などを見直すことが大切です。
これら起案の機会を有効に使い、司法修習生考試のための対策を取りましょう。
司法修習生考試(二回試験)は不合格になる?
司法修習生考試は多くの受験者が合格する一方、不合格者も出ている試験です。
試験結果は、不合格者の受験番号を公表する形で案内されています。自身の結果は、受験した期の公式案内で確認しましょう。
第76期~第78期の公表された不合格者数は、次の通りです。
| 修習期 | 不合格者発表日 | 不合格者数 |
|---|---|---|
| 第78期 | 2026年3月24日 | 5人 |
| 第77期 | 2025年3月25日 | 10人 |
| 第76期 | 2023年12月12日 | 6人 |
出典:最高裁判所「司法修習生考試不合格者受験番号」第78期・第77期・第76期(いずれも公表資料の公開写し)
不合格者数は修習期によって異なります。また、司法修習生の採用者数と考試の受験者数は集計対象が異なるため、採用者数をそのまま分母にして不合格率を計算することは適切ではありません。
司法修習はハードな期間であり、試験もボリュームが多く、内容も決して簡単ではありません。不合格者の人数だけで安心せず、修習中の起案や講評を復習し、必要な実務能力を身につけることが重要です。
参考:文部科学省公開資料「司法修習生採用者数・考試(二回試験)不合格者数」
司法修習生考試(二回試験)に落ちてしまったら
司法修習生考試に不合格となった場合、司法修習生を罷免されます。
再受験を希望するときは、司法研修所を経由して最高裁判所に再採用を申し込み、採用された上で次回以降の考試を受験します。司法修習生として在籍したまま、自動的に再受験できるわけではありません。
再受験は原則として全科目が対象です。不合格だった科目だけを受け直す仕組みではありません。病気など、やむを得ない事情で一部を欠席した場合には、受験済みの科目について次回の受験を免除する取扱いが認められることがあります。
また、採用選考審査基準では、二回試験に連続して3回合格しなかった者は、原則として不採用とされています。再度司法試験に合格した場合は、この不採用事由から除かれます。病気などで受験できなかった場合には、その考試を受験回数に数えないことができるとされています。
不合格は、予定していた入所・採用時期に影響する可能性があります。内定取消しや入所時期の変更などの扱いは一律ではないため、内定先の採用条件を確認し、必要な対応を相談しましょう。
出典:最高裁判所「司法修習生採用選考」、最高裁判所「令和8年度司法修習生採用選考要項・採用選考審査基準」、第78期司法修習生考試応試心得(公開写し)、「考試において不可の科目又は欠席があった者の取扱いについて」(公開写し)
司法修習生考試(二回試験)を突破するために
司法修習生考試に合格するためには、修習中に学んだ内容を理解し、設問に応じて正確に答案を作成する力が必要です。
また、答案の内容だけでなく、試験中の指示や答案の提出方法を守ることも重要になります。
以下のポイントを確認し、準備不足や指示の読み落としによるミスを防ぎましょう。
設問の指示と担当する立場を正確に確認する
起案では、自分がどの立場で、誰のために、何を検討・作成するよう求められているのかを確認しましょう。
民事弁護であれば、原告と被告、依頼者の立場などを取り違えないことが大切です。刑事裁判・検察・刑事弁護でも、それぞれの立場と設問で指定された条件を踏まえて検討する必要があります。
記録に示された事実や証拠を整理し、結論に至る理由を説明してください。答案を書き始める前に、設問と担当する立場を確認する時間を確保しましょう。
答案をひもで綴じる
司法修習生考試では、答案用紙が散らばらないよう、綴りひもでしっかり結ぶ必要があります。
第78期の応試心得では、答案起案時間の終了後に綴りひもが配布され、5分間の答案綴り込み時間が設けられています。
答案表紙を一番上に重ね、綴りひもで散逸しないように結び終えたものだけが、有効な答案として回収されます。綴り込み時間の終了後に、綴じ直したり用紙を挟み込んだりすることは認められていません。
受験する期の応試心得と監督者の指示に従い、指定された時間内に綴り込みを終えましょう。
出典:司法修習生考試委員会「第78期司法修習生考試応試心得」(公開写し)
油断せずに取り組む
不合格者が少ないからといって、準備をしなくても合格できる試験ではありません。
司法修習生考試は司法修習の最後の試験であり、不合格になると、予定していた法曹としての仕事を始める時期に影響する可能性があります。
起案の練習・復習を怠らず、試験では設問を正確に読み、判断の根拠を答案に示すことを心がけましょう。
最後まで油断せずに取り組むことが大切です。
司法修習のメリットと意外なデメリットについて
法曹になるための一般的なルートである司法修習ですが、司法修習生となることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、司法修習のメリットや生活面の注意点と、司法修習を経ずに弁護士となる資格を得る制度について紹介します。
司法修習のメリットは?
こちらの記事でもご紹介しているように、司法修習にはいくつかのメリットが存在しています。
・自然と法曹コミュニティに参加できる
・実務的な学びを得ることが出来る
・修習給付金として、原則月額135,000円の基本給付金を受けながら学べる
司法修習生は、経済的な支援を受けながら修習を進めることが出来ます。
基本給付金は、通常の修習に必要な期間を対象に支給されます。また、一定の条件を満たす場合には、原則月額35,000円の住居給付金や、修習に伴う住所・居所の移転に対する移転給付金も支給されます。
給付期間や状況によって日割り計算となる場合があるため、具体的な条件や申請方法は公式案内を確認してください。
また、法曹として働き始めた後にも自然に連絡を取り合える同期のような存在ができるため、人とのつながりを築けることもメリットです。
裁判官・検察官・弁護士の指導の下で実際の事件処理を体験的に学び、講義や起案を通じて実務能力を高められます。
出典:最高裁判所「司法修習生の修習給付金について」、裁判所「司法修習生」
一方でこのようなデメリットも…
様々なメリットがある司法修習ですが、修了までの期間や、修習中の生活費についても準備が必要です。
司法修習のデメリットや注意点として、何が考えられるのでしょうか。
法曹として働き始めるまでに修習期間が必要
約1年間の司法修習では、実際の事件を通じて実務を学びますが、修了までは法曹として仕事を始めるための準備期間となります。
実務に触れられない期間ではなく、指導者の下で実務を経験しながら、法曹に必要な能力や職業意識を身につける期間です。
また、司法修習生は国家公務員ではありませんが、これに準じた身分として扱われます。修習に専念する義務や守秘義務などがあるため、修習中の生活や活動も、これらの義務を踏まえて考える必要があります。
出典:裁判所「司法修習生」
生活費の準備が必要になる
司法修習生は修習給付金を受けられますが、生活費に加えて、参考書の購入費や移動に伴う費用なども必要になります。
必要な金額は、修習地や住居、家族の状況などによって異なります。給付金だけで支出を賄えるか、修習開始前に収支を確認しておくことが大切です。
司法修習生には修習専念義務があり、無許可で兼職・兼業をすることはできません。一方、答案添削・採点や講師などの業務については、許可申請の制度があります。
申請すれば必ず認められるわけではないため、兼職・兼業を予定している場合は、対象となる業務や手続を公式案内で確認してください。
修習給付金や修習専念資金の貸与制度の条件を確認し、不足する生活費についても事前に準備しておきましょう。
出典:最高裁判所「令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」、最高裁判所「令和8年度司法修習生採用選考要項」
司法修習を経ずに弁護士となる資格を得る制度もある
司法修習を経ずに弁護士となる資格を得る特例として、弁護士資格認定制度があります。
例えば、企業法務等の経験によるルートでは、司法試験に合格した後、法律で定められた職務に通算7年以上従事することなどが必要です。職歴の類型によっては、通算5年以上の経験が要件となる場合もあります。
さらに、法務大臣が指定する研修を修了し、法務大臣の認定を受ける必要があります。単に民間企業や法律事務所で一定期間働けば、資格を取得できる制度ではありません。
そのため、約1年間の司法修習より短期間で資格を取得できる一般的な代替ルートではありません。利用を検討する場合は、自分の職歴や担当業務が制度の要件に当てはまるかを確認してください。
これから司法試験を目指すなら
現在紹介している司法修習生考試は司法試験合格後の最終関門ですが、この記事を読んでいる方の中には司法試験合格を目指してこれから学習を始める方もいるかと思います。
予備試験ルートで司法試験を目指す場合、学習に利用できる通信講座の一つが「アガルートアカデミー」です。
2023年司法試験の合格実績

アガルートが公表した2023年の司法試験合格実績では、全合格者1,781人中、641人がアガルートの有料講座受講生で、全体の約36%を占めています。
この集計には、単科講座や答練等の有料受講生も含まれます。36%は司法試験の全合格者に占める割合であり、アガルート受講生の合格率を示すものではありません。
また、上記の画像と数値は2023年の実績です。最新の実績や対象講座については、公式サイトで確認してください。
講座に関する詳しい情報はこちらの記事でご紹介しているため、ぜひご覧ください!
合格に向けて計画的に学習を進められる
アガルートのカリキュラムでは、講義や問題演習を組み合わせた学習の進め方が提示されています。
動画講義をスマホやPCから場所・時間を選ばずに受講できるため、自分の生活に合わせて学習を進められます。
基幹講座ではフルカラーの教材を採用しており、図表などを使って法律の知識を整理できます。
対象カリキュラムにはオンライン質問サービスが付いています。利用回数や質問の対象範囲、利用開始時期はカリキュラムによって異なるため、申込み前に公式サイトで確認してください。
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非常に魅力的なポイントが多いアガルートの通信講座ですが、いきなり受講を申し込むのは勇気のあることです。
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司法修習生考試に不合格になった場合の対応と対策まとめ
司法修習生考試とは何か、試験の詳細や不合格になった場合の対応、合格に向けた対策を紹介しました。
予備試験・法科大学院での学習、司法試験、司法修習を経て法曹を目指す上で、最後の関門となるのが司法修習生考試です。
不合格となった場合は司法修習生を罷免され、再受験するには再採用の申込みが必要になります。再受験は原則全科目が対象となり、採用選考では受験回数に関する基準も設けられています。
不合格者が少ない試験であっても油断せず、修習中の起案や講評を復習し、設問の指示と答案の提出方法を確認して取り組むことが大切です。

















