
行政書士として独立し、事務所の開業を考える場合、どれぐらいの費用が必要になるのか?費用の総額や内訳について、そして行政書士として仕事して安定した年収を得られるようになるまでにはどんな道が待っているのかをまとめていきます。
行政書士として開業するには、どれぐらいの費用がかかるのでしょうか?
行政書士試験にせっかく合格したならやはり行政書士として仕事をしていきたいと思いますが、いざ合格後となると、何をすればいいのか…?となってしまうことも少なくありません。
という事で、本記事では、行政書士の仕事内容と、開業費用はどの程度あれば足りるのか?行政書士が開業してから安定した年収を得られるようになるまでをまとめます。
目次
行政書士の仕事とは?

まず、行政書士とはどんな仕事をする職業なのでしょうか?
行政書士としての開業費用に必要な年収をチェックする前に、行政書士とは何をするのかを確認しておきましょう。
行政書士の仕事内容
行政書士の仕事とは、個人や法人などの顧客の書類作成や申請を代行することです。
具体的には、官公署(都道府県や役所など)に提出する書類の作成やコンサルティングを行い、
- 飲食店の開業など、企業の手続き
- 自動車関連、登録など
- 遺産相続や遺言書
- 成年後見
- 賃貸などの契約書
- 交通事故時の手続き
- 産業廃棄物処理などの許可の申請
などに関わり、幅広い活躍をしています。様々な許可や認可に関するもので、その種類は膨大です。
行政書士が仕事で扱う書類は10,000種類以上とも言われています。
日常生活でも大切な行政書士
行政書士にお世話になったことがある人は少ないかもしれません。
しかし上記に挙げた仕事内容をよく見てみれば、「飲食店の開業や建設業の開業をしよう!」と思い立った人でなくとも、日常生活上で官公署に提出する必要がある書類がたくさんあることに気づくでしょう。
また、実際に日常生活上で様々な手続きをするときに、面倒で難しい思いをしたことがある人は多いと思います。
行政書士は、こういった困り事のときに複雑で面倒な手続きや処理を滞りなく行ってくれるというワケです。


行政書士の仕事をするには?
行政書士として仕事をするには、行政書士事務所に所属し勤務するか、独立して開業するかのどちらかが一般的でしょう。
行政書士事務所は現在、小規模な事務所が多くて、年収や福利厚生は場所によってピンキリです。
また、求人自体が多くないためたとえ国家資格の行政書士資格を取得していたとしても実務経験がなければ簡単には就職先が見つからないこともあります。
独立して開業しようとしている場合でも、事務所勤務は経験を積み、10,000種類を超える書類がある行政書士の仕事の中から得意分野の発掘ができるほか、司法書士や社会保険労務士、その他の法律家とも一緒に仕事ができる機会も多いので、一度は事務所に入って経験を積んでおきたいところではあります。
行政書士の開業費用はどれぐらい?

行政書士として独立し、開業するにはどれぐらいの費用が必要なのか?
せっかく開業するなら、雰囲気も行政書士事務所らしい環境を揃えたいところです。
事務所のインテリアやレイアウトは決してただの自己満足ではなく、来所する顧客も事務所の印象で安心感や信頼感が変わってきます。
ここでは行政書士事務所を開業するのにどうしても費用がかかる必要なモノを挙げていきます。
行政書士会の登録費用
行政書士として仕事をするには、行政書士会に登録する必要があります。
登録費用は都道府県によって違いますが、入会金や手数料のほか、印鑑や戸籍謄本なども必要になるので登録費用はざっと見て30~35万円程度になります。
また、行政書士会には半年ごとに3万円、1年で6万円の会費を支払わなければなりません。
オフィス用の家具
オフィス家具は事務所っぽい雰囲気を出すのにも必須ですが、書籍や大量の書類を保管しなければならないため書庫や本棚は必須となります。
大切なポイントとして、行政書士の仕事は個人情報などを多く扱うため、鍵のかかる書庫である必要があります。(※行政書士には法律上で守秘義務が課せられています。)
また、机や椅子は仕事用のデスクはもちろん、来客用の分も揃えなければなりません。
これらの家具には購入方法にもよりますが5万円~10万円程度の費用が必要でしょう。
設備関係・パソコンなど
固定電話やFAXは使用頻度は減っているものの、事務所を開業するためにはまだまだ必須です。
書類の作成をするためには、パソコンやプリンター、ネット回線にソフトウェア各種も購入しなければなりません。
プリンターは家庭用のA4サイズではなく、見開き書類をすぐに作成できるように、A3印刷が可能なタイプを選びましょう。
これらの設備のためにはおよそ25万円ほどの費用がかかります。


事務所が軌道に乗るまでの生活費が必要
開業費用や年収がいくら必要になるのかという問いに結論を出すなら、他にも、自分の事務所を宣伝するホームページ作成やサーバー代や事務所の家賃、光熱費なども必要になってくるため、全部合わせておおよそ100万円程度あれば、開業の資金としては一つ目安になる金額だと言えるでしょう。
しかし、行政書士の仕事は事務所を開業してすぐに始められるわけではありません。
営業、集客…つまり仕事を獲得できなければ月収も年収もゼロです。その期間は運にも左右され、当人の商売人としての力も試されることになりますが、この期間が長ければ長いほど多くの開業資金をもって始めた方がいいことになります。
最初の1件目の仕事を得ることはもちろん、安定した年収を見込めるようになるにはしばらくの期間がかかります。行政書士の試験を合格するよりも営業努力を続け、仕事を獲得していく方がずっと難しいといいます。
これらの事実も踏まえて、行政書士の開業費用を150万円用意するか、200万円ほど用意するのかは当人次第となります。
行政書士の年収は?
法律の専門家で国家資格をもって独立開業できる行政書士は、事務所が軌道に乗ってしまえば高い年収が期待できると思っている人も多いでしょう。
実際、行政書士の報酬に関しては、行政書士側が自由に決めることができます。要するに言い値で仕事できるわけです。
しかし、行政書士事務所も近年では増えてきており、サービス業の一つとして価格競争も始まってきているため、業務単価は下降傾向です。
現在、一般的な行政書士の年収は500万円以下と言われており、大きな年収を得ている人は限られています。


行政書士の仕事をするには?必要な開業費用まとめ
行政書士の仕事と開業費用についてまとめてみましたがいかがでしたか?
行政書士にお世話になったほうが楽で確実な場面というのは今や日常生活中にたくさん転がっています。
しかしその一方で、行政書士の仕事で安定した年収を手にしようと思うと、行政書士の資格だけ持っているだけでは厳しく、営業、集客の面で苦労しなければならない職業でもあります。
開業費用に関しては、最低限で100万円から、事務所を開業できても仕事が得られない期間もあることを考えて、何ヶ月分収入なしでも耐えられる額を準備するかという事になってくるという結論となりました。