国家資格の「管理業務主任者」は、定年後の仕事として人気というイメージが広まっています。
しかしその一方で、「若いうちに資格を取得しても仕事に繋がらないのではないか」「定年後の体力で通用する仕事なのか」といった不安があり資格取得を躊躇っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「管理業務主任者試験の年齢制限や、定年後も目指せる仕事内容なのか」についてご紹介します。また、年齢別の合格率や求人についても詳しく解説します。
管理業務主任者の資格取得を迷っている方は最後までお読みください。
管理業務主任者には年齢制限がない?
一部の国家資格には年齢制限があるため、管理業務主任者の資格においても年齢制限が存在するのか不安な方も多いのではないでしょうか。
結論としては、管理業務主任者は受験にも、働く際も年齢制限はありません。また、性別や学歴においても不問なので、興味があれば誰でも受験できる国家資格となっています。
また、管理業務主任者として登録するためには「2年以上の実務経験」もしくは、「登録実務講習」の修了が必須となっています。
実務を経験せずに登録実務講習を受ける方も多いですが、こちらの講習においても年齢制限はありません。
従って、管理業務主任者の試験においても資格取得後にも年齢制限がなく、幅広い年代の方が毎年チャレンジする資格となっています。
管理業務主任者の年齢層はどのくらい?
年齢制限がない管理業務主任者試験では、学生からシニアの方まで幅広い世代の方が受験します。
こちらの項目では、管理業務主任者の年齢層について解説します。
定年後の資格というイメージが強い資格ですが、管理業務主任者他の不動産系資格と比較しながら具体的に見ていきましょう。
この項目では、以下の3つの観点から管理業務主任者の年齢層を分析します。
- 管理業務主任者試験合格者の年齢層は?
- 管理業務主任者試験の男女による合格率や年齢層の違いはある?
- 管理業務主任者と他の不動産系資格との年齢層の違い
管理業務主任者試験合格者の年齢層は?
年齢制限のない管理業務主任者試験は定年後の仕事というイメージがありますが、受験者の年齢層はどうなっているのでしょうか。
過去6年間の管理業務主任者試験の平均年齢を参考に、受験者の年齢層を見ていきましょう。
実施年度 | 平均年齢 | 最高年齢 | 最低年齢 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|---|---|
2021年 | 42.8歳 | 82歳 | 17歳 | 16,538人 | 3,203人 |
2020年 | 43.2歳 | 78歳 | 18歳 | 15,667人 | 3,473人 |
2019年 | 42.3歳 | 81歳 | 18歳 | 15,591人 | 3,617人 |
2018年 | 44.4歳 | 81歳 | 18歳 | 16,249人 | 3,531人 |
2017年 | 41.8歳 | 86歳 | 18歳 | 16,950人 | 3,679人 |
2016年 | 42.6歳 | 79歳 | 18歳 | 16,952人 | 3,816人 |
参考:管理業務主任者について
例年合格者の平均年齢が40代前半となっていることから、合格者の年齢分布が正規分布に従っているとすると、32〜52歳の合格者の割合が全体の6割を超えていることが予想されます。
また、最高齢と最低年齢から見ると高校生からシルバー層まで幅広い年代の方が毎年チャレンジし合格を掴んでいることが分かります。
男女による合格率や年齢層の違いはある?
それでは続いて、男女によって管理業務主任者試験の年齢層や合格率に違いがあるのかを見ていきましょう。
男女の違いについては過去3年分の試験結果を用いて分析します。
実施年度 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
2021年 |
平均年齢:44.5歳 最高年齢:82歳 最低年齢:17歳 受験者数:12,721人 合格者数(合格率):3,817人(19.4%) |
平均年齢:36.9歳 最高年齢:74歳 最低年齢:18歳 受験者数:3,817人 合格者数(合格率):741人 (19.4%) |
2020年 |
平均年齢:44.8歳 最高年齢:78歳 最低年齢:18歳 受験者数:12,117人 合格者数(合格率):2,945人(24.3%) |
平均年齢:37.1歳 最高年齢:76歳 最低年齢:18歳 受験者数:3,550人 合格者数(合格率):794人(22.4%) |
2019年 |
平均年齢:43.5歳 最高年齢:81歳 最低年齢:18歳 受験者数:男女計15,591人 合格者数(合格率):2,902人(23.8%) |
平均年齢:37.6歳 最高年齢:70歳 最低年齢:18歳 受験者数:男女計15,591人 合格者数(合格率):715人(21.0%) |
管理業務主任者試験は、受験者数にこそ違いはあれど、平均年齢や合格率は男女による大きな違いは見受けられません。
つまり管理業務主任者試験は年齢や性別を問わずに合格・活躍が見込める資格と言えます。
その他の資格は体力や文系・理系的な考え方など求められるものがありますが、管理業務主任者は本気で目指せば誰もが働くことのできる資格です。
他の不動産系資格との年齢層の違い
不動産系資格は年齢不問の資格が多いですが、他の不動産系資格と比較し管理業務主任者試験の年齢層は高いのでしょうか。以下の表にて、不動産系の資格と平均年齢を比較してみましょう。
国家資格名 | 平均年齢 |
---|---|
管理業務主任者 | 42.8歳 |
マンション管理士 | 47.7歳 |
土地家屋調査士 | 39.7歳 |
宅地建物取引士(宅建) | 35.0歳 |
不動産鑑定士 | 34.6歳 |
上記の表より、管理業務主任者は年齢層が高い資格に分類されることが分かります。
理由の一つとして、不動産系資格間は親和性が高く、宅建や不動産鑑定士を取得した後に管理業務主任者の資格を取得する傾向にあることが挙げられます。
従って、30代以降の方がダブルライセンスを目指すケースが多いことも、管理業務主任者の高年齢化に影響を与えていると言えます。
管理業務主任者は定年からでも目指せる?
先ほど解説した通り、管理業務主任者は年齢制限のない資格試験のため定年以降にも目指すことができます。
とは言え、定年から勉強しても合格できるのか、また仕事内容的に定年後の体力で働けるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
こちらの項目では、「管理業務主任者は定年からでも目指せるのか」について以下の3つの視点からご紹介します。
- 管理業務主任者試験の難易度
- 管理業務主任者の仕事内容
- 管理業務主任者の求人情報
定年後に目指す方はもちろんのこと、取得しようか迷っている方はチェックしましょう。
管理業務主任者試験の難易度
まず管理業務主任者の難易度について客観的に比較するために、以下の表にて令和3年度における不動産系国家資格の合格率をまとめました。
国家資格名 | 合格率 |
---|---|
不動産鑑定士 | 16.7% |
宅地建物取引士(宅建) | 15.6% |
土地家屋調査士 | 9.5% |
マンション管理士 | 9.9% |
管理業務主任者 | 19.4% |
上記の表より、管理業務主任者試験の合格率が比較的高いことから難易度は低めであると言えます。
また、試験範囲のうち簿記や会計の知識など、一般企業の経理部で就業経験がある方にとって馴染みやすい問題も少なくありません。
従って、管理業務主任者試験は一般企業に勤めている方や一般職を退職後にも取得しやすい資格と言えます。
このように他の不動産系資格と比較し取得するハードルが低いことからも、幅広い世代における人気を後押ししています。
管理業務主任者の仕事内容は定年後にはきつい?
管理業務主任者が定年後の資格取得者が多い理由には、仕事内容の特徴も考えられます。管理業務主任者の具体的な仕事内容は以下の通りです。
- 委託された管理事務のチェックと報告
- 管理委託契約に関する重要事項の説明と関連書類への記名・押印作業
- 電話対応やマンション内のルールに関する資料作成等の事務作業
- 理事会・総会に向けての資料作成や出席などの運営サポート
- マンション内の清掃や設備のメンテナンス
- 住民間のトラブル仲介や業者対応といった折衝業務
管理業務主任者はマンションの運営サポートとしての業務がメインにありますが、その内訳として電話対応や書類作成などのパソコンを使った事務処理が多くあります。
力仕事や外作業が少なく、現役世代と比較し体力に自信が無くなってくる定年後でも比較的働きやすい職種と言えます。
定年からの仕事として求人がある?
定年後に資格を取得しても肝心の求人がなければ資格の意味がありません。実際に大手転職サイトにおける60代以降の管理業務主任者の求人件数を見てみましょう。
転職サイト名 | 求人件数 |
---|---|
indeed | 3件 |
リクナビNext | 2件 |
スタンバイ | 14件 |
これらの仕事の中には、分譲マンションのフロント担当として正社員で雇用される求人や福利厚生・退職金制度が充実した好条件の求人もあります。
このように、管理業務主任者として資格取得後も年齢関係なく活躍できる場が提供されています。
管理業務主任者を目指すなら何歳くらいからがおすすめ?
管理業務主任者試験は年齢制限がなく定年後に取得される方も多いですが、仕事内容や求人など総合して見た時に何歳ぐらいから目指すのが良いのでしょうか。
こちらの項目では、「管理業務主任者における年代別の需要や働き方」について以下の4つの年代に焦点を当ててご紹介します。
- 20代
- 30代~40代
- 50代
- 定年後
特に20代や30代の方は今取得すべきなのか、シニアになってから取得すべきか具体的にイメージしてみましょう。
20代で資格を取得する場合
合格者の年齢層からも分かるように、20代で管理業務主任者の資格を取得する方は非常に稀となっています。
有資格者や経験者は30代以降の方が大半であるため、20代の資格保有者は即戦力として大手管理会社へ就職・転職できる可能性が高くなります。
また、宅建やマンション管理士といった不動産系とのダブルライセンサーを目指せば、経験を積んだ30代以降に独立開業の道にも進みやすくなります。
従って、20代から管理業務主任者の資格を取得することで就職や独立開業といった選択肢を増やし、不動産業界でのキャリアを充実させることが出来ます。
30代~40代で資格を取得する場合
合格者の年齢層から見ると、30代〜40代で管理業務主任者の資格を取得する方が最も多いボリューム層ということが分かります。
そのため、20代の頃はアドバンテージとして活用できた資格も、30代〜40代では保有していることが必須条件となってきます。
また、未経験可の求人は減り、管理職への育成前提での長期採用や実務経験ありの即戦力人材を求められる傾向にあります。
30代〜40代は異業種から不動産業界へ転職する方も少なくありません。前職で培った事務作業能力や対人コミュニケーションスキルを活かすことが出来れば、不動産業界でも早期にキャリアを築くことが可能となります。
従って、最も需要が高いと言える30代〜40代で資格を取得した場合には、キャリアチェンジ前の経験やスキルを豊富に持つ即戦力人材としての活躍が期待されます。
50代から資格を取得した場合
管理業務主任者は国家資格の中では珍しく、不動産業でのキャリアアップを目的として50代での資格取得者も少なくありません。
そのため、未経験から募集している求人はほぼ無いに等しく、資格保有者もしくはダブルライセンサーでなければ転職することは難しくなります。
特に、長期勤務の求人は40代までのものが多く、雇用形態等の求人における選択肢も限られてきます。
さらに、30代〜40代の頃よりも、コミュニケーション力やマネージメント力など人物重視の採用も増えてくるのもこちらの年代の特徴と言えます。
従って、50代から資格を取得した場合には、限られた求人の中でご自身の経験やスキルをアピールする必要があり、転職の難易度は高くなることを覚悟しましょう。
定年後で資格を取得した場合
冒頭にもご紹介したように、管理業務主任者は第2のキャリアを築きたい方が定年後に取得する資格として人気があります。
そのため、2001年に始まった比較的新しい資格にも関わらず、60代以降の方でも毎年100人程度が受験します。
とは言え、求人数は全国的に見ても2桁台と決して多くなく、雇用形態も契約社員が大半となっています。
資格を取得しても未経験から再就職を成功させるにはかなり厳しい現実が待ち受けています。
従って、定年後においても需要はありますが、なるべく早いうちから資格を取得し従事することをお勧めします。
働きながら管理業務主任者を目指すには
定年後に資格取得をする方も多い管理業務主任者ですが、30代〜50代の年齢で資格を取得する方も多数います。
つまり多くの方が働きながら管理業務主任者の資格を取得していることになりますが、働きながら試験に合格するにはいくつかのポイントを抑える必要があります。
最後に、働きながら管理業務主任者試験に合格するためのすすめをご紹介します。
初学者なら300時間の学習時間を確保する
管理業務主任者試験に合格するには、約300時間の学習が必要と言われています。
1日3時間の学習なら約3ヶ月半、2時間の学習なら約5ヶ月かかり、計画的に勉強を進めていかなくてはなりません。
毎日仕事をしながらこれだけの学習時間を確保するのは簡単ではないため、モチベーションを高く持ち根気強く学習していく必要があるでしょう。
通信講座を利用する
現在働いている方はもちろん、定年退職し現在は時間がある方も、効率・モチベーションの観点から見て1人での学習はおすすめしません。
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管理業務主任者試験の合格率は例年20%前後を推移しており、令和3年は19.4%でした。
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管理業務主任者試験合格率の高いカリキュラムですのでこの全額返金制度も狙いやすく、非常に魅力的な制度と言えるでしょう。
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管理業務主任者に年齢制限はなく定年でも目指せる?|まとめ
今回、管理業務主任者は定年後から目指せるのかどうかについて資格の難易度や仕事内容、求人などの視点から解説してきました。
前提として管理業務主任者は年齢・学歴・性別において不問となっています。また、事務作業がメインの仕事内容となっているため、定年後からでも十分目指せる資格職業と言えます。
そのような事実から、他の国家資格と比較し第2のキャリアを築くために資格を取得する50代以降の方も少なくありません。
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