「土地家屋調査士の仕事内容って実際きついの?」
「土地家屋調査士の仕事内容について確認したい!」
土地家屋調査士を目指される方の中で、このようにお考えの方も多いのではないでしょうか?
土地家屋調査士は専門性が高く、業務範囲も多岐にわたります。
こちらの記事では、土地家屋調査士の仕事がきついと言われる理由や、業界の将来性について解説しています。
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目次
土地家屋調査士がきつい理由

土地家屋調査士は、土地測量などのフィールドワークと図面や申請書作成のデスクワークの両方がある特殊な資格です。
数ある士業資格の中でも専門性が高く、仕事内容がきついと言われています。
①現場仕事が肉体的にきつい
②立ち合いがうまく進まない
③収入が安定しづらい
①現場仕事が肉体的にきつい
土地家屋調査士の仕事は、家屋の周辺調査や測量業務などの外の現場仕事が多いです。
夏は炎天下の中、冬は極寒の中で作業をしなければなりません。
また、物件によっては整地環境の悪い土地での測量調査もあります。
このようにかなり肉体労働的な作業が多いので、年齢を重ねるにつれて体力的にきついと感じることが増えてきます。
②立ち合いがうまく進まない
土地家屋調査士の仕事の中には、「土地の境界線」を特定させる業務もあります。
その場合の多くは、その土地に隣接する土地所有者立ち合いの元で境界線を決めなければなりません。
作業を進めるために、お互いのスケジュール調整や、境界線トラブルがないように交渉するのがかなりの手間です。
隣地所有者の都合が悪かったり、積極的に協力してくれないことも多々あります。
③収入が安定しづらい
土地家屋調査士の仕事は主に、不動産関連の取引時に発生する受託ベースの業務です。
不動産の取引件数は景気によって左右されやすいので、土地家屋調査士の仕事も景気の影響を大きく受けることになります。
また、土地開発が行われていない地方の場合も、不動産に関する案件が少ないので、拠点にする地域の選定には注意が必要です。
逆に、土地開発が盛んに行われ、建物の新築や増築工事が多い地域では、案件数も多くチャンスがあります。
土地家屋調査士の基本情報

土地家屋調査士として活動するには、土地家屋調査士試験に合格した後に日本土地家屋調査士会連合会へ登録する必要があります。
土地家屋調査士に関する基本的な情報について以下にまとめましたので、是非参考にしてください。
資格区分 | 法務省が定める国家資格 |
---|---|
分野 | 法律 |
有資格者※1 |
法務大臣に認められた者※2 |
試験方式 | 筆記試験・口述試験 |
人数※3 |
|
平均年収 | 約600万円 |
※1:土地家屋調査士法より引用
※2:法務局または地方法務局で不動産の表示に関する登記の事務に従事した期間が通算して十年以上、かつ法務大臣に土地家屋調査士の業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められた場合
※3:日本土地家屋調査士連合会HPより
土地家屋調査士の仕事内容

土地家屋調査士は、不動産の情報を法的に定めるために土地の測量や調査を行う専門家です。
不動産の所有者は、その土地の面積や所在地、建物の構造など物理的な状況に関する情報を不動産用登記簿に登記しなければなりません。
登記手続きは所有者本人が行いますが、登記には土地測量など専門的な知識やスキルが必要なため、土地家屋調査士が依頼を受けて代理で登記申請を行っています。
不動産の情報を法的に正しく定めることで、不動産取引や税金を課す計算など各取引を正確に行えます。
①「表示に関する登記」は土地家屋調査士の独占業務
不動産の土地面積や所在地、建物の構造などの情報の登記を「表示に関する登記」といいます。
土地家屋調査士の代表的な仕事がこの「表示に関する登記の申請の代理」になります。
これは、土地家屋調査士にしか行えない「独占業務」であり、土地の測量技術や専門的な法律知識が必要とされる業務です。
建物を新しく建てたり、増築した際も「表示に関する登記」を行う義務があるため、この登記業務を独占的に行えるのが土地家屋調査士の強みといえるでしょう。
「表示に関する登記」の具体的な例として以下のものが挙げられます。
②「表示に関する登記」の審査請求手続きの代理
「表示に関する登記」は各地域の登記所にいる登記官に申請して受理されてはじめて適応されます。しかし時折登記所の業務が滞ったり、登記申請が登記官によって却下される場合があります。
登記作業の停滞している場合や登記が却下された際には不動産所有者は「審査請求」という形で登記所に不服申し立てが可能です。
土地家屋調査士は「審査請求」の手続きを不動産所有者に代わって行うことができ、もし「審査請求」が受理されると登記所、登記官が正しく登記を行ってくれたり却下を訂正してくれたりします。
③土地の分筆や合筆、筆界(ひっかい)特定の手続代理
登記業務以外にも、土地の分筆(分割)、合筆も土地家屋調査士の業務です。
また、土地の境界線が曖昧な場合は、隣地の所有者とトラブルになりやすいので、本来の土地の境界線を決める「筆界特定」の手続きの代理も土地家屋調査士が行います。
筆界がわからなくなってしまった場合には「筆界調査委員会」という筆界の専門家に依頼をして本来の筆界がどこにあったのかを調査してもらわなくてはなりません。
土地家屋調査士は「筆界調査委員会」に対する依頼手続を不動産所有者に代わって行うことができます。
このように、土地範囲の決定や手続きなど「土地の境界線に関する業務」が土地家屋調査士の主な仕事です。
④土地の境界に関する民事紛争解決手続の代理
実際に筆界が現況と異なっていた場合トラブルに発展することがあります。以前は土地の境界に関するトラブルは双方の話し合いがもつれると裁判を起こす必要がありました。
しかし一度裁判になると時間や費用などのコストが非常にかかる上に、土地の所有者が不明であるなどそもそも解決が難しいケースもあります。
そこで、裁判を回避するために新たに行われるようになった解決方法がADR(民間紛争解決手続)です。
ADRは土地の所有者同士が話し合いによって解決を図る手段で、法務大臣から認可を受けたADR認定土地家屋調査士は土地の所有者の代理人として弁護士とともにトラブル解消のための手続きを行うことができます。
①「表示に関する登記」は土地家屋調査士の独占業務
②「表示に関する登記」の審査請求手続きの代理
③土地の分筆や合筆、筆界(ひっかい)特定の手続代理
④土地の境界に関する民事紛争解決手続の代理
土地家屋調査士の将来性

土地家屋調査士業界の将来性について今後どのような動きがあるのか気になりますよね。
結論を先にお伝えすると、土地家屋調査士はとても将来性のある資格と言えます。
不動産登記の独占業務がある土地家屋調査士の需要は今後もなくなる事は考えにくいです。
①不動産登記は法律で義務付けられている
②相続の分筆、合筆や売却が増加する
③境界をめぐるトラブルが増えている
④ドローンを活用するなど測量技術が進化している
⑤土地家屋調査士は全国的にも少ない
①不動産登記は法律で義務付けられている
前述した「表示に関する登記」は、建物を新築・増築した際に法務省に届け出る義務があります。
この国民的な義務を独占的に行えるのが土地家屋調査士の最大の強みです。
今後どのように景気が左右しても不動産取引自体がなくなるとは考えにくいため、今の不動産に関する法体系が変わらない限りは仕事の需要がなくなることはないでしょう。
そのため、土地家屋調査士は一定数の需要が必ず存在する将来性のある職業と言えるでしょう。
②相続の分筆、合筆や売却が増加する
日本の高齢化が進む昨今、今後多くの土地相続が発生し、それをきっかけに土地の分筆(分割)、合筆や売却が増えることが予想されます。
その手続きには土地家屋調査士が必要不可欠なので、土地相続関連の案件が増えてくるでしょう。
③境界をめぐるトラブルが増えている
近年では、民間市民同士による土地の境界線をめぐるトラブルや紛争が増えており、市民の土地へ対する権利意識が高まっています。
土地の資産価値が重要視され、土地面積の主張をする土地所有者も多く、土地家屋調査士へ土地の境界線に関する相談が増えてきています。
そのため、土地範囲の筆界特定や相談業務など土地家屋調査士の需要は今後も増していくでしょう。
④ドローンを活用するなど測量技術が進化している
土地家屋調査士は不動産・建設系業界においてまだまだ認知度の低い職業ですが、同時にこれからの活躍が見込まれている職業でもあります。
というのも、近年多くの業界で採用されている「ドローン技術」が土地家屋調査士の作業の現場でも活躍が期待されているからです。
測量業務は全て人間の手作業で行われていましたが、ドローンを使用することによって上空からの測量が可能になり、作業の効率化を見込むことができます。
つまり、ドローンの操縦免許などを取得することにより土地家屋調査士としての業務の効率化が図れるだけでなく時代のニーズに合った働き方ができるのです。
⑤土地家屋調査士は全国的にも少ない
他の士業の場合、同じ資格所持者が増えることで仕事が減ったり、独占業務の取り合いになったりするなどして独立後に失敗するケースは少なくありません。
しかし、土地家屋調査士は全国に16,000人程と数が少なく、調査士同士で仕事を取り合うことは比較的少ないです。
高齢化社会において不動産の相続に伴う分筆・売却の需要が高まることは間違いないので、土地家屋調査士の仕事自体が減ることはないと言えるでしょう。
ただし、法人化する土地家屋調査士が増加傾向にあり一部の大規模な法人が仕事を独占する状況になることも考えられます。
地域の実情をよく理解したりドローンやITなどの最新技術を取り入れたりADRや筆界特定などの新しい仕事内容に対応したりすることで他の土地家屋調査士との差別化を図ることが今後は重要になってきそうです。
土地家屋調査士の働き方

土地家屋調査士は独立開業が行える資格としても人気が高く、働き方次第では高収入を見込める資格職業ですが、雇用されて働くことはできるのでしょうか?
土地家屋調査士としての働き先や、働き方についてご紹介していきます。
「補助士」から始めるのがおすすめ
土地家屋調査士は資格を取得することで名乗れる職業ですが、測量を行うなどのフィールドワークも主な仕事ですので経験値も重要になります。
土地家屋調査士のキャリアの第一歩としておすすめなのが「補助者」として登記測量事務所で実経験を積むことです。
土地家屋調査士の仕事内容の修得には高度な知識と経験が必要となるため、実務と座学を同時並行で学びながら資格を取得して土地家屋調査士の登録を行うのが一般的とされています。
未経験のまま資格を取得してすぐに独立開業する人もいますが、特に現地での測量作業などは経験が重要になりますし、資格取得後即開業すると補助者の確保も難しくなるなど若干のリスクがあることも事実です。
実際に土地家屋調査士となった後の働き方について詳しく解説していきます。
土地家屋調査士は独立開業型の資格
土地家屋調査士の資格を取得した人の多くは独立開業を目標としています。先述の通り数年の実務経験を積んでから開業するのが一般的ですが、独立開業の条件に実務経験の有無が設定されているわけではないので資格取得後すぐに独立開業をすることも可能です。
一般的に開業資金は300万円~400万円ほど必要といわれており、製図をするためのツールであるCADソフトや測量の際に使用するトータルステーション、現場に行くための車など用意する物がたくさんあります。
高額な初期費用が必要ではありますが、軌道に乗りさえすれば自分の思い通りの働き方ができることを考えると土地家屋調査士としての独立開業は魅力的な選択肢といえるのではないでしょうか。
独立開業した土地家屋調査士の多くは個人事務所を開設し、個人事務所の場合は土地家屋調査士1人と補助者数名という規模が一般的です。
土地家屋調査士は一般企業で仕事ができない
土地家屋調査士として働く場合、一般企業の従業員として土地家屋調査士の仕事を行うことができません。
土地家屋調査士の仕事には公平性が求められるため、特定の相手に対して有利になるような状況で仕事をしてはいけないという規定が設けられており、もし企業が土地家屋調査士を雇用して土地家屋調査士としての仕事を行わせ利益を得た場合には罰則を受けることになります。
そのため企業として土地家屋調査士を雇用するメリットがなく、実際に雇用されて土地家屋調査士として働いている方はほとんどいません。
ダブルライセンスにおすすめの資格

土地家屋調査士と兼業して別の士業の資格を持つ「ダブルライセンス」取得者になれば、仕事の範囲が広がるなど様々なメリットがあります。
他の士業資格の中でも土地家屋調査士業務と関わりが多いのが「司法書士」「行政書士」です。
土地家屋調査士会の調べによると、他の資格も保有している土地家屋調査士は全体の約4割いると分かっています。
以下では、「司法書士」「行政書士」それぞれ土地家屋調査士と兼業するメリットについてご紹介します。
司法書士と兼業するメリット
土地家屋調査士と司法書士を取得する事で「不動産登記」のスペシャリストになれます。
前出した通り、不動産登記には2種類あり、「表示に関する登記」は土地家屋調査士の独占業務で、「権利部に関する登記」は司法書士の独占業務です。
通常はそれぞれ別々で登記申請を行いますが、どちらの資格も取得することで不動産登記をワンストップで行えるようになります。
同じ事務所で登記申請が完了するので、手間が少なく依頼主側も嬉しいです。
そのため、土地家屋調査士と司法書士のダブルライセンスがあれば、不動産登記のプロとして活躍できます。
行政書士と兼業するメリット
土地家屋調査士と行政書士を取得する事で「土地相続に関する業務」のスペシャリストになれます。
土地相続をする際、「土地の測量」と「行政への相続手続き」を土地家屋調査士と行政書士へ別々で依頼するのが一般的です。
土地家屋調査士と行政書士のダブルライセンスを取得することで、土地相続に必要な業務を同時に受託できるプロとして活躍できるでしょう。
土地家屋調査士として働くメリット

こちらでは土地家屋調査士のメリットについてご紹介します。
・高収入を目指せる
・仕事の需要がなくなることはない
・現場仕事とデスクワークのバランスがいい
高収入を目指せる
土地家屋調査士の平均年収は500万~600万円であり、日本人の平均年収420万円と比べると比較的高い水準にあります。
以下に土地家屋調査士の年齢別の平均年収をまとめましたので、参考にしてください。
年齢層 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 428万円 |
25~29歳 | 533万円 |
30~34歳 | 585万円 |
35~39歳 | 668万円 |
40~44歳 | 750万円 |
45~49歳 | 840万円 |
50~54歳 | 900万円 |
55~59歳 | 893万円 |
60~65歳 | 608万円 |
土地家屋調査士はキャリアや経験を重ねる度に収入も大きく増えていく魅力的な職業です。
自分で調査士事務所を独立開業すれば、経営次第では年収1,000万円を目指すことも可能でしょう。
仕事の需要がなくなることはない
前述した通り、不動産登記の「表示に関する登記」は土地家屋調査士にしか行えない独占業務です。
建物を新築・増築工事をする際は、必ず不動産登記を届け出る義務があるため、今後需要がなくなることはないでしょう。
現場仕事とデスクワークのバランスがいい
土地家屋調査士は、土地の測量調査の現場仕事と作図、申請書類作成のデスクワークがあるので、事務作業だけが苦手な方にはバランスの取れた働きやすい環境であると言えるでしょう。
現場では自分の裁量で働けるので現場仕事が好きな方にはおすすめです。
【まとめ】土地家屋調査士の仕事はきつい?
・現場仕事が多いので体力が必要
・仕事の需要がなくなることはない
・高収入を目指せる資格
・ダブルライセンス取得で市場価値を高めれる
土地家屋調査士はきついと感じることも多いですが、魅力的なメリットも多い資格です。
仕事内容は多岐にわたりますがその分将来性も高く、働き方次第では高い収入を得られるでしょう。
最近ではこういった士業系の資格取得に強い予備校が増えており、毎年多くの方が試験に合格しています。
土地家屋調査士試験におすすめの予備校について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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