社会人になってからキャリアアップや年収アップを目指す方の中には、資格取得を検討している方も少なくありません。
しかし実際、「資格取得のための勉強方法が分からない」「働きながらいつ勉強すればいいの?」と悩んでいる方もいるでしょう。
なかには、勉強したい気は合ってもなかなか行動に移せない人も。
そこで今回は資格取得に向けたおすすめの勉強方法や必要な勉強時間の目安についてご紹介します。
これから資格取得を検討している方はぜひ参考にしてみて下さい。
資格取得のためのおすすめの勉強方法
資格取得のための勉強は学生時代のテスト勉強とはわけが違います。
そこでここでは、資格取得のためのおすすめの勉強方法についてご紹介します。
出題科目・配点・出題数など試験の傾向を知る
効率的な勉強を進めるにはまず、受験する試験の出題範囲や科目、配点、出題数などを把握することが重要です。
目指す試験によって試験日程や出題科目、配点などはまったく異なりますので、必ず信頼できる機関が公表する情報かどうか吟味しましょう。
とくに配点が高い分野は重点的に勉強し、配点が低い分野は適度に時間を割くか、捨てる選択も検討してみてください。
試験の全体や傾向を知ることで、自分の基礎知識のレベルに合わせて必要な勉強時間を見極め、効率的に取り組むことが合格につながります。
過去問を解く
試験によっては過去問が公開されているケースもあり、もし可能であれば過去3〜5回分、できれば10回分の過去問を入手して解いてみましょう。
過去問を解くことで、試験の傾向や出題形式、難易度、時間配分などを把握できます。
また、解いている時点で分からない問題が出ても問題ありません。
途中で不足している知識や弱点を見つけ、克服するための方針を立てることができます。
なお、直近の最新回の過去問に関しては本番の試験と傾向が近いため、本番前の確認用に残しておくことが賢明でしょう。
最新の過去問を解くことで、本番の試験に備えることができるはずです。
問題集・参考書を繰り返し解く
資格試験では常識的な知識や元々持っていた知識で解ける問題が出題されることもあるため、問題集や参考書は繰り返し解くことが大事です。
一度解けた問題は本番でも解けるはずなので、2回目の問題集解きでは1回目に間違えた問題に集中するといいでしょう。
2回目までに解けなかった問題をピックアップし、その理由をじっくりと分析します。
次に解説を読み、関連する参考書の章を復習します。
さらに、3回目の問題集解きで再度間違えた問題にフォーカスします。
本番前に自分の弱点を特定し、集中的に対処できれば合格にも近づくはずです。
動画・音声教材を使うのもひとつ
インプットの手段は、文字情報だけに限定されるものではないので、動画や音声教材も積極的に活用するといいでしょう。
視覚や聴覚を使うことで、理解を深められるメリットがあります。
また動画や音声はスマートフォンで手軽に視聴できるため、「ながら勉強」にも適しています。
たとえば、自宅では参考書や問題集を使用して勉強を進め、外出先では動画や音声を活用すると効果的です。
ほかにも、帰宅後の特定の時間帯を参考書や問題集の勉強に充て、ほかの時間に動画学習を行うように工夫すると学習の継続にもつながります。
模試を受ける
資格試験によっては本番を想定した模擬試験を受けることができる場合があります。
模擬試験では本番と同じ難易度や試験時間、問題量で試験が実施され、合格ラインに到達できれば本番でも合格する可能性が高いと判断できます。
逆に、合格ラインに到達できない場合は、得点率の低かった分野や単元を重点的に復習する必要があります。
以上のように模擬試験は勉強の進捗状況を把握する手がかりとなる、かなり有益な手段だといえます。
もし模擬試験が実施されていない場合や、試験会場が遠方で受験が難しい場合は、最新の過去問を解くことでも同様の効果を得られます。
過去問を解く際も本番と同じ試験時間で問題を解き切ることを目指しましょう。
時間がかかり過ぎる問題があれば、苦手分野や科目を重点的に復習することで本番でも安心して臨めるでしょう。
予備校・スクールに通う
合格への強い意志を持ちながらも、自己管理が難しい方や迅速な学習を求める方には、資格スクールや予備校、通信講座を受講するのがおすすめです。
予備校やスクールには資格取得合格のための効率的なメソッドや講師陣による指導が受けられるメリットがあります。
近年では、多様な団体や企業がオンラインサポートを提供しており、自宅で手軽に受講できる環境が整っているところが増えてきています。
予備校やスクールによって費用や学べるカリキュラムが異なるので、いくつかのスクールを比較検討して自分に合ったところを選ぶようにしましょう。
苦手分野をまとめる
重要事項をノートにまとめる方法は、時間と労力に比べて得られる情報量が限られるため、基本的にはあまり得策とは言えません。
しかし、自分が苦手とする部分を集中的にまとめる場合は、理解を深めたり記憶を補完したりするのに有効です。
ノートにまとめる際は、時間をかけずに重要事項を箇条書きで書き出すことが重要です。
時間がかかる場合は理解が不足している可能性があるため、特に重点的に取り組む必要があります。
資格取得のための勉強を効率的に進めるコツ
資格取得の勉強は手当たり次第に取り組むのはおすすめではありません。
そこでここでは、資格取得のための勉強を効率的に進めるコツについてご紹介します。
1日の勉強時間を決めておく
とくに社会人などなかなか勉強時間を確保するのが難しい人こそ、勉強計画を事前に立て、1日の勉強時間とそのタイミングを決めておくことが大事です。
なぜならあまりにも無計画な勉強ペースや気まぐれに勉強しているようでは、知識の定着が難しくなるからです。
例えば、毎日の夕食と入浴後に3時間を勉強に充てるといった具体的なスケジュールを作るようにしてみてください。
日常生活の一部として定着させることで学習の継続にもつながります。
また、勉強を後回しにする傾向がある場合は、自分でルールを設けて守るようにしましょう。
さらにルールを守れた場合には自分へのご褒美を用意すると、よりモチベーションを高めることができるでしょう。
資格取得までのスケジュールを立てておく
資格試験への合格という大きな目標を掲げるだけでなく、目標に向かって進むための中間目標を設定することが重要です。
例えば、「模擬試験で〇点を獲得する」「前回行った過去問のミスを減らす」「ある期間内に特定の範囲を網羅する」といった目標を立てます。
中間目標を設定することでより最終目標への道筋が明確になり、進捗状況を把握しやすくなります。
また、目標設定までの具体的なスケジュールを立てることで途中でのモチベーションの維持や修正もしやすくなります。
計画を立てる際には、最終目標を達成するために必要な勉強時間を算出し、その週ごとや日ごとの学習目標を設定します。
目標やスケジュールを立てておくことで多少予定通りにならない時があっても臨機応変に対応できるでしょう。
完璧を求めすぎない
受験生のなかには完璧な理解を追求したり、知識を徹底的に身につけようとする人も少なくありません。
しかし、あまりにも完璧な理解を目指してしまうと、時間がどれだけあっても足りないと必要以上に不安になります。
資格試験に挑む際、あくまで最終目標は合格することです。
資格試験は特定の分野における一定以上の知識を持っていることを示すものであり、全ての知識を完璧に持っていることを証明するものではありません。
実際にも資格試験ごとに合格基準や合格ラインが設定されており、それを超える得点を取ることが合格の条件とされていることがほとんどです。
したがって、満点を目指すのではなく、合格ライン以上の得点を確実に取るための勉強方法を実践することが重要です。
分からないところをそのままにしない
先ほどは完璧を目指すのは危険といいましたが、しかし分からない部分や苦手なところを放置せずに取り組まなければ意味がありません。
なぜなら各分野や章はつながりがあり、1つの分野を諦めると他の分野にも影響を及ぼす可能性があるためです。
分からない部分や苦手な分野を後回しにせず、苦手克服のために時間を割くようにしましょう。
苦手克服には「講師に直接質問する」「解説を読む」などの対処法が挙げられます。
再度学習して理解を深めるための時間を確保し、スケジュールに余裕を持たせることが大切です。
各分野の理解を深めることでより全体的な理解を高められ、試験での成績向上につなげられます。
インプットとアウトプットのバランスを重視する
資格取得への勉強となると、とにかく冒頭からじっくりと読み始める人がほとんどです。
しかし、参考書を一通り読み終えるまでに時間がかかりすぎてしまい、問題演習に充てる時間が不足することがよくあります。
また、インプットに時間を費やしすぎると、最初に覚えた内容を忘れてしまうリスクもあります。
参考書の読書や暗記はインプットにあたりますが、実戦的な問題や論文対策などはアウトプットになります。
したがって、資格取得への勉強にはインプットだけに偏らないようにバランスを保つことが大事です。
適度な休憩も大事
とくに長期にわたる資格取得の勉強をおこなっている際は、適切な休憩時間を取り入れることも時には大事です。
適度な休憩は、脳や身体をリフレッシュさせるだけでなく、モチベーションや集中力の向上にもつながります。
たとえば「模試で高得点をとったからご褒美に〇〇を買おう」「1時間おきに15分程度の休憩を取ろう」「スポーツなどで汗を流そう」など。
こまめな休憩をとることで、普段の勉強の継続にもつながるでしょう。
資格の種類は大きく4つに分けられる
ひとえに資格と言ってもさまざまあり、大きく分けると以下の4つに分けられます。
- 国家資格…医師・弁護士・行政書士・教員など
- 民間資格…TOEIC・MOS・証券アナリストなど
- 公的資格…簿記検定・秘書検定・マネジメント検定
- 国債資格…調理師免許・米国上級秘書資格(CAP)、米国公認会計士(USCPA)など
国家資格は、国の基準に基づいて認定されることから、世間的に見ても信頼度はかなり高い資格です。
一方、民間資格は民間企業や団体が独自に設定するもので、履歴書などで書けば就職や転職などで有利になる可能性があります。
また公的資格は特定の官庁や大臣が認定し、民間資格は社会のニーズに合わせて設定されます。
国際資格は複数の国家が合意し、海外でも通用するスキルを示します。
資格を選ぶ際にはそれぞれの種類や実施団体がどこかをしっかり把握し、自身の目的やキャリアパスに合った資格かどうかを慎重に選ぶことが大事です。
国家資格取得のための勉強時間の目安
ここでは、国家資格の難易度別にそれぞれの勉強時間の目安・合格率についてご紹介します。
資格の種類 | 必要勉強時間の目安 | 合格率 |
---|---|---|
弁護士(予備試験) | 6,000時間 | 3% |
弁護士(法科大学院) | 6,000時間 | 40% |
公認会計士 | 3,000時間 | 10% |
司法書士 | 3,000時間 | 3% |
弁理士 | 3,000時間 | 7% |
税理士 | 2,500時間 | 10% |
不動産鑑定士 | 2,000時間 | 10% |
国家公務員Ⅰ種 | 2,000時間 | 6% |
米国公認会計士 | 1,500時間 | 35% |
社会保険労務士 | 1,000時間 | 7% |
TOEIC800点 | 1,000時間 | ― |
日商簿記1級 | 800時間 | 10% |
行政書士 | 600時間 | 7% |
宅地建物取引主任者 | 400時間 | 15% |
日商簿記2級 | 250時間 | 30% |
<引用元:“>資格難易度ランキング!勉強時間&合格率から考察する!>
勉強時間は、短時間で効率よく勉強した場合の目安です。
経理や会計系に便利な『日商簿記2級』は、250時間なので1日2時間勉強しても4ヶ月以上必要です。
最近、需要が高まる英語の資格『TOEIC800点』を取るとなったら、1,000時間の勉強時間が必要です。1日2時間勉強しても1年4ヶ月が必要です。
資格を取得するメリット
資格を取得するメリットには主に以下のものが挙げられます。
就職・転職で有利になる
資格は個人のスキルや能力を証明する重要な要素であり、転職や営業などで自己アピールする際に有利に働くメリットがあります。
資格取得は能力を裏付ける客観的な根拠となるため、自己PRや実績を示す際でも堂々と記載できます。
たとえば、「ITパスポートを取得しているため、IT関連と情報処理に関する基本的な知識はすでに有しております」という具体的な資格取得の事実につながります。
現職とは異なる業界に転職したいといった希望があるのであれば、実務経験がなくても資格があることで受け入れられるケースもあります。
やりたいことが決まっている方は関連した資格を目指してみてください。
スキルアップ・キャリアアップにつながる
資格取得は特定の分野の知識を獲得し、個人の能力向上につながるメリットがあります。
新たな知識や技術を身に付けることで、個人だけでなくチームや組織、さらには会社全体にも大きな変革をもたらします。
資格は単なる知識や技術だけでなく、経験やマインドなども含めた成長を促すものです。
また資格取得によって得られる高度なスキルはキャリアアップにもつながります。
企業が求めるスキルや技術を習得することで、自身の活躍の幅を広げることができるでしょう。
資格取得が昇進や昇給などの条件に結びつくケースもあります。
キャリアアップやスキルアップを目指す方にとって資格取得は有効な手段だといえます。
仕事の選択肢が増える
資格取得により日常業務の効率性が向上することで、仕事の幅が増えるメリットがあります。
より高度な業務にも挑戦できるようになったり、専門性を高めることで会社からの信頼を得て新しい業務のチャンスを得ることができたりします。
また、転職を考えている場合は、特定の資格を有することで応募の幅が広がります。
企業の要望に合致する資格を持つことで、より多くの求人案件にアプローチできるでしょう。
自分にあった勉強方法で資格取得を目指そう!
今回は資格取得のためのおすすめの勉強方法についてご紹介してきました。
さまざまな勉強方法について紹介してきましたが、自分に合った勉強方法を見つけ実践することが大事です。
つまりすでに持っている参考書や問題集であっても、使い方の工夫しだいで勉強の効率を高められるということです。
目指す資格によって難易度やかけるべき時間も異なるので、スケジュール管理とモチベーション維持がとくに重要。
今回の記事を参考に資格取得を目指してみてくださいね。